【ヒプマイ】月が満ちる時に。2

story68 ページ22

銃兎｢貴方…本当に理鶯の料理が食べれたんですね｣


『もちろん！』


左馬刻｢…食いてぇんならいっぱい食え、｣


『え？いいの！ありがとう、左馬刻！！』



きっと絵にしたらモザイクがかかるであろう料理を私は頬張っていく。

…美味しい！

理鶯流石すぎる！



左馬刻｢…Aよぉ、美味そうに食べんな…これも食べるかよ？｣



と、左馬刻が差し出してきたのは鹿のお肉の串焼き。



『食べる！』



左馬刻の手から串を貰おうとすると左馬刻は私の手をよけた。



『？』


左馬刻｢口開けろ｣


『口？』


左馬刻｢ほら、…“あーん”だよ｣


『なっ、…左馬刻、からかわないでってば…』


左馬刻｢は？お前、俺様がやってやってるのに拒むのかよ？｣


『だって』


左馬刻｢いいから口開けろ、早く｣


『…』





『…美味しい、です』



結局、押しに負けて彼からの“あーん”を受けてしまった。

左馬刻に言われるとなんか怖いんだもん…

…まぁ味はほんとに美味しいんだけど…



理鶯｢…A｣


『ん？何？理鶯』


理鶯｢小官もやっても構わないだろうか？｣


『何を？』


理鶯｢左馬刻がしたこととと同じことだ｣


『え?なんで？理鶯が!?』


理鶯｢ダメか…｣



分かりやすくシュンとしてしまう理鶯が可愛くて可哀想でダメだとは言えない。

慌ててもちろん、いいよ！と彼に伝える。



『ほ、ほら！理鶯、あーん、して？』


理鶯『！、…』



理鶯はニコニコしながら私の方へ串を差し出す。

…なぜこれをして嬉しいのかわらないけど理鶯が楽しそうだからいいか…



銃兎｢左馬刻も理鶯もやったのなら私もやらない訳にはいきませんね｣



いやなんでそうなる？



銃兎｢ほら、A、目をつぶって口開けろ｣



えー…なんでよ、なんでそうなるのよ…

と思いつつももうなんか面倒くさくて言われた通り目をつぶって口を開ける。

…あれ？これ、チョコ？

ん？そういえばなんで目つぶってって…



『…！じゅ』


銃兎｢リタイヤしたら罰ゲームだぞ｣


左馬刻｢銃兎、てめぇ！｣


理鶯｢銃兎…反則ではないか｣



目を開けるとそこには銃兎の端正な顔があった。

私は、…私と銃兎は1本のポッキーを両側から食べている状態なのだ。

そう、所謂“ポッキーゲーム”だ。

どうしようもなく私が止まっていると銃兎がだんだん近づいてきて…


ほんの軽く私と彼の唇が触れた。



今日も夜は更けていく。






※次回からシンジュク

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