【ヒプマイ】月が満ちる時に。2

story67 ページ21

『銃兎、理鶯』



小さかった声がだんだん大きくなって2人にも聞こえていたみたいだ。



銃兎｢…はぁ、貴女は助手席に乗せるべきでしたね…｣


左馬刻｢んだとてめぇ銃兎｣


理鶯｢Aは小官の隣に乗って欲しかったのだが、｣


『み、みんな』



一気に走る険悪なムードになる。

もうさ…そんなことでこんなふうにギスギスしないでよ…

ハッキリ言ってくれれば私だってちゃんと気づくのに



確かに、皆で出かけてるのに2人だけでコソコソ喋ってたら、嫌だよね。

別に私を気にせず話してくれてもいいんだけど…

でもこんな狭い空間で話してる人がいたら自分も話したいなって思うよね

もっと気をつけるべきだったかな、



『ごめんね？今からは皆でお話しよう？それならいいでしょ？』


左馬刻｢…はぁ…｣


銃兎｢…｣


理鶯｢A、その通りだ｣


『だよね、理鶯！』



なんで左馬刻はため息ついてるの？

銃兎も信じられない、って言う顔だし…

え？…んー、まあでも理鶯がそうだって言ってるんだからきっとそうだよね！何も間違ってないよね！



理鶯｢ところでA、今日は何が食べたい？｣


『うーん、なんでもいいけど…』


理鶯｢はは、なんでもいいと言われるのがいちばん困るな｣


『だって、理鶯の作るご飯は本当になんでも美味しいんだもん！

左馬刻と銃兎は食べたことあるの？』


左馬刻｢ま、まぁな｣


銃兎｢えぇ…“味”は素晴らしいと思うのですが…｣



味、は？

料理って味以外何を見るの…？

私別に見た目とか気にしないんだよね…

だってなんだって体の中に入っちゃえば一緒じゃん？

体に害がない限り食べれない食べ物なんてないと思うんだよね。



『とにかく久しぶりの理鶯の手料理すごく楽しみ！！』


理鶯｢Aがそう言ってくれるのならば、今日はいつもより豪勢な料理を振舞おう｣


『やった！』



はぁぁと深いため息がどこからともなく聞こえてきて私がその溜め息に疑問を感じているうちに理鶯の野営地へ着いてしまった。







〜in理鶯's野営地〜

『いただきます！！』


理鶯｢あぁ｣


左馬刻｢(理鶯…鹿の肉とか言ってたな、今日はマシな方か…)｣


銃兎｢(心を無にして食べるんだ…Aの前だぞ…)｣



理鶯曰く今日のメインデッシュは鹿のお肉。

もちろん彼の狩猟による獲物だ。

でも私が好きなのはおつまみとしてでたヤモリの衣焼き。

この食感がたまらないんだよね…

ﾊﾞﾘﾊﾞﾘﾊﾞﾘ

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