苦手なはずなのに【2】 (ページ15)

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34話:香水ページ15

「遊佐さん達！！！」

慌てた様子の神谷さんが
私達の所にやって来た。

少し話すぎたか…

ごめんなさいと、謝る前に
神谷さんが先に喋る。

「彩香ちゃんと潤が
　ちょっと酔っ払いすぎて手に負えないんだよ～
　早く戻って来て！！」

潰れてた彩香ちゃんが目を覚まし
福山さんに絡み始めて
2人で飲み比べをしていたらしく
それでかなり酔ってしまったらしい。

「わかった、すぐ行くよ」

遊佐さんは、仕方ないなと
ぼやきながら先に行く

遊佐さんが歩き始めてから
私は、煙草の匂いを消すように
ポーチの中から香水を取り、手首と耳の後ろにつけた。

階段の下で待っていた遊佐さんは
それを見て、上から降りていく
私を見つめる

優しく私の手首を片方の手首を掴み、
香水の匂いをかいだ。

「良い匂い」

『ちょっ…』

掴まれた手首に熱を感じる。
動揺していると
もう片方の手首を優しくつかみ
遊佐さんの首に私の両手首をつけて
私の香水を馴染ませた。

階段だったので
遊佐さんが私を見上げる形になっている。

「僕も良い匂いだよ、かいでみる？」

甘すぎず爽やかな香水の匂いが
少し広がった気がする。

遊佐さんの首に筋に目がいってしまう。

『な、な、な…っっ』

言葉が急に出にくくなる

『…結構です』

冷静にならなきゃと思い
お酒が入ってる状態だが
精一杯頭を回転してやっと出た言葉。

「ああ、そう」

遊佐さんは、少し意地悪な顔をして
早くして下さい！と言っている
神谷さんの後を追った。

その後ろをついていきながら

いや、結構ですじゃなくて
何やってるんですかだろ…
あんなのセクハラだぞ
かいでみる？じゃないだろ
それ、私の香水だし…

と、ブツブツ呟いてしまった。

私の香水をつけた遊佐さんは
当たり前かのように
私の香水の匂いがする…

でも、なんだか
遊佐さんがつけるのと
私がつけているのとじゃ
少し違った匂いな気がする。

前を向き、困っている神谷さんをみて
もうなんでも良いやと
歩く速度を速めた。