【◇】Play ball!!! 10

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沢村「あーとー一粒のーなーみーだでー」

「よっ沢村ー」




私の謎のスタートから始まり、沢村の熱唱を聞きながらシャンシャンとタンバリンを鳴らす。割とみんなカラオケが好きらしく、順番待ち状態だ。

白州やノリの流行りのバンドとかも、流行りに疎い私には楽しくてお勉強になる。




倉持「亮さん歌わないんすか！？」

亮介「俺はいいよ。倉持よくわかんないプロレスの入場曲しか歌わないね」

春市「兄貴、歌いなよ。ほら、ゲゲゲの鬼太郎の歌あるよ」




取り巻き(?)にデンモクを差し出される亮介さんを尻目に、私は「そろそろ来るんじゃないかなぁ」と画面の方を向く。

すると、チャチャチャーと前奏が流れだした。





(きた！)

「亮介さん！」

亮介「は？なに？」

「出番です！キューティーハニーです！」

亮介「…………」

春市「A先輩……」

倉持「ひゃはは！！杉本ナイス！！」
亮介「倉持」
倉持「…すみません」




亮介さんにさっとダメ元でマイクを献上すれば、前奏が終わるギリギリまで悩んだ末、みんなの声に背中を押されたのかマイクを手に取る。




亮介「この頃流行りの女の子ー
お尻のちっちゃな女の子ー」

「純さん！純さんカメラ回して！」

伊佐敷「タメ口きいてんじゃねぇよ！」




可愛い声で割と普通に歌ってくれる亮介さんに感激しながら純さんにスマホで動画を撮ってもらう。

まさかの事態に大盛り上がりの一同。
女子も女子で「亮介さんエ ロい！」やら「やばい可愛い！」やら大盛り上がりだ。




亮介「ハニーフラッシュ」

「わぁぁ！永久保存版ですね！素敵！！」

亮介「はい」

「え」



1番を歌い終わったところで、亮介さんが私の手にぽんっとマイクを渡す。
絶句する私に、亮介さんは仕事を終えたように自分の席へと帰って行き、「曲入れた責任で、杉本2番以降どうぞ」とにっこり微笑んだ。




「…………」

御幸「杉本のハニーフラッシュ見たーい」

「死ね！！！」

亮介「ほら、2番始まるよー」



こんな男が大勢いる中でキューティーハニー……。
私が無の心で画面を見ると、2番の歌詞が出る。




「い、今時人気の女の子ー…
ぷくっとぼ、ボインの女の子ー…」



☆



☆



セクハラです！！



☆


伊佐敷「動画、稲実のカルロスに送れるやついるかー」

御幸「あ、はい」

「やめて！！それだけはやめて！！！」



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