【アイナナ×黒バス】私は九条になった。

体育館 ページ45

灯「さあ着いたわよ。」

「・・・死ぬかと思った・・・。」

灯さんとは思えないほどの荒々しい運転に巻き込まれ、どこのアクション映画だと心の中でツッコむ。

灯「はやく降りて。」

「灯さんは？」

灯「私は降りないわよ。」

「なんで。」

灯「いいから早く行きなさい。行けばわかるわ。はいこれ、あんたのバッグ。さっきあんたが着替えてる間に必要最低限の物は入れておいたわ。」

渡されたのは女の子らしいかわいいバッグ。中身を見ると携帯やら財布やらが入っていた。

本当になんなのかは全くわからないが、私はおとなしく受け取り車を降りる。

私が助手席のドアを閉めると、

灯「あとで迎えに来るわ。あと声、地声で行きなさいよ。」

そう言い残しいつもの安全運転で車は行ってしまった。

「・・・なんだ？」

さっきから疑問に感じてばっかだ。

とりあえずの思いで振り向く。

そこは、どこか懐かしい・・・。

「体育館・・・？」

中学の男子バスケ部決勝戦の時に来た体育館のように見えた。

だけどどこか大きい気がする・・・。

「・・・！もしかして・・・！」

もしかしたら。そう思い一気に走り出す。

しばらく走り入口らしき場所に着く。

そこには

『全国高校男子バスケ部 ウィンターカップ決勝戦 誠凛高校VS洛山高校』

と書いてあった。

やっとわかった。

灯さんが月バスを見てたのは。

私に急かすように着替えさせたのは。

時間を気にしていたのは。

安全運転していなかったのは。

「・・・ありがとう・・・。」

声に出るのは男声。

男声が地声になりつつある今、もう本当の声の出し方なんて分からなかった。

声に出さず、皆にバレずにいれば大丈夫。

そう心に言い聞かせ決勝を行っている会場に向かった。

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