恋物語458 ページ33
−−−青峰side−−−
青峰「何ですか話って…」
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他のメンバーや相手選手も居なくなった静かなコートを眺めながら、ベンチであるパイプ椅子に監督と共に腰を下ろしている。
観客たちも後半を待ち遠しくしながら、近くの人と会話をしているのだろうか。それでも、試合の時とはまるで違った会場の静けさ。
すると、隣りで監督が重苦しい咳を2回程した。咳をする度に揺れる老いた身体……その様子をただ見つめていると、不意に監督が口を開いた。
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監督「青峰…私はお前に謝らなければならん。」
青峰「……!?」
監督「練習で直接指導をしない時でも、私はずっと部員を見てきた。もちろんお前のこともだ。すぐにとてつもない才能を秘めていることには気付いた。誰よりもバスケットが好きであることにも…そして、その才能が開花すれば今のようになるであろうことにも…」
青峰「!」
監督「気付いていながら何も言わなかった。……言えなかったのだ。お前の気持ちよりも、その才能が開いた先を見たいという感情が勝ってしまった。
…だが言い訳にもならん話だが、どちらにしろ私はお前に言えることなどなかっただろう。バスケをやっていれば、誰しも壁や悩みに直面するが…そのほとんどが足りない事によるものだ。
だがお前のように力があり過ぎる事を悩む者はいないし、それを解決できる指導者はいない。なぜなら、指導者は選手を上達させることはできても下手にすることはできないからだ。」
青峰「…」
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分かってるさ…
そんなこと…
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監督「だから謝る。……そして頼む。」
青峰「…」
監督「"それでもその才能をムダにしないでほしい"。」
青峰「………えっ…」
監督「今日勝つための懇願ではなく、これからのお前のためにだ。お前の悩みはすぐに解決できることではない。だがいつか…解決できるかもしれん。
"投げ出すな。諦めなければ必ずとは言わん……だが諦めたら何も残らん"。」
青峰「ちょっ…今のセリフ…」
監督「うむ、パクった。」
青峰「聞いてたってこと!?」
監督「…」
青峰「…………わかったっす。今更もう元には戻れねえ。それでも…まだ"勝ちたい"って気持ちは残ってる。」
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ちぃ(プロフ) - きたー!!白咲クン達3年のラン&ガン!!キセキの世代が活躍してて当然だけどモヤモヤしながら読んでいて、やっと出て来て涙と共にカッコよすぎて鳥肌立ちました!! 読む度に惚れてしまう…白咲クン大好きッス( ´艸`)実際に居たらなーww← (2017年5月3日 18時) (レス) id: ec58b6055b (このIDを非表示/違反報告)
REDARM2(プロフ) - 最終章ですか...。出来たらその後のお話も見たいなぁ、って我儘ですかね?(苦笑) 更新お疲れ様です!!!いつも楽しく見させて貰ってます! (2016年10月7日 23時) (レス) id: 44a8fac9f8 (このIDを非表示/違反報告)
だお(プロフ) - ありがとうございます!1人1人に返信ができず申し訳ありません。コメントからいつも元気もらってます。ラスト彼らの行く末を見届けてくれたらと思います!これからもよろしくです(*^^*)!! (2016年10月7日 22時) (レス) id: d490ebbd79 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫ニサナ - 最終章…一年って早いですね。 白咲ちゃんと虹村先輩の物語好きです これからどうなっていくのか楽しみです。頑張ってください。 (2016年10月7日 18時) (レス) id: bb6d832eb8 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン(プロフ) - 最終章・・・早い、もっと見たい。この物語すっごい好きだから。最後まで頑張ってください! (2016年10月7日 17時) (レス) id: dfd94ab019 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だお | 作成日時:2016年9月3日 20時