違和感 ページ15
のんびり話しながら食堂までの道を歩いていると、
途中の中庭に人の姿が見えた。
「なんか呼ばれてるけど…どっちだろう…」
その人は手招きをしている。
赤葦「俺行こうか?」
「女子だし、私行くよ、京治ここで待ってて。」
赤葦「あ、うん。」
スッと手が離れて、その人の元に向かう。
「どうしました?」
女子生徒「あの、これ…」
目の前に出されたのはひとつの紙袋。
「これは…?」
女子生徒「ジャージお借りしたので…」
「あ、そういうことでしたか…
誰に返せばいいですか?」
紙袋を受け取りそう言うと、
その女子生徒はちらり、と京治を見て
恥ずかしそうにした。
女子生徒「2年の…赤葦くんに…」
名前を聞いた瞬間、私の中に強い衝撃が走った。
「赤葦、って…」
思わず京治の方を見る。
彼は何も知らない顔をして、手を振ってきた。
女子生徒「あの赤葦くんです。」
女子生徒も京治を見つめて言った。
「あ〜…そうなんですね。
なんかお伝えすることとかあればついでに
伝えておきますけど…」
女子生徒「この間はありがとう、
また会ってください。とお伝えください。」
「はい、わかりました。
わざわざ届けに来てくださって
ありがとうございました。」
女子生徒「こちらこそ、わざわざ
出向いてくださってありがとうございました。」
彼女は軽く会釈をすると、早々に去っていった。
校舎内に入ると、京治が寄ってきた。
赤葦「なんの用だったの?」
「ファンの子がある選手に渡して欲しい、って。」
ぎゅっと紙袋を抱えて、そそくさと歩いた。
赤葦「へえ、朝から珍しいね。」
京治はその後を追いかけてきて、
それ以上のことは聞いてこなかった。
食堂に着くと、
烏野のメンバーがちらほら居た。
私達だけだったらきっと気まずくなってしまう。
そう心配していたから、居てくれて助かった。
日向「あ、Aさん、赤葦さん!」
「日向くん、おはよう〜」
赤葦「おはよう、」
日向「おはようございます!!
木兎さん達とは別ですか??」
赤葦「うん、ランニングしてくるって。」
日向「俺も行けばよかったかなあ、、
影山、やっぱランニング行くべきだったな!!」
影山「だから言ったろ?」
日向「失敗したな〜、」
さっきのことがショックすぎて
日向くん達の会話が全く耳に入らない。
赤葦「あ、でももう帰ってきたみたい。
今学校の周りまで来たってLINE来た。」
その一言を聞いて、私はある事を思い出した。
「あ、ごめん、スマホ忘れてきたみたい…」
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作者名:まなか | 作者ホームページ:http://mana_no_syo_settu
作成日時:2019年4月20日 0時