放物線軌道~アネモネの花~ (ページ16)

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悩み事ページ16

赤葦｢え、俺も行こうか？｣
｢あ、ううん、大丈夫。
すぐ戻るから日向くん達と先食べてていいよ。｣
赤葦｢そう？…わかった。
じゃあ先食べてることにするよ。｣
そう言って京治は日向くん達に混ざる。

私は早足で食堂を出て、廊下のソファーに座る。

京治に忘れたと嘘をついたスマホを
ポケットから取り出し、LINEを漁る。

ある人に電話を掛ける。
｢どうしよう。出るかな…｣
呼び出し音が鳴っている間、
私は女子生徒に渡された紙袋を
ただ、ぎゅっと抱きしめていた。

？｢あー、もしもし。｣
しばらくして、少しだるそうな声で
その人は、電話に出てくれた。

｢ランニング終わりにごめんなさい、
黒尾さん、今、大丈夫ですか…｣
ダメだ、泣きそう。

黒尾｢いーよ。どうしたんですか、Aちゃん｣
｢私、これ、どうしたらいいのか分からなくて…｣
黒尾｢ちょっと、後ろのバカミミズクがうるさくって電話だとアレだから、直接話そっか。｣
｢はい、｣
黒尾｢ちょっとバカミミズク追い払うから
5分後に待ち合わせね、場所は…黒尾さんとLINE交換した場所。分かるね？｣
｢わかりました、｣
黒尾｢ん、いい子。じゃ、後でね。｣
そう言って通話が切断された。

5分後…多分京治が心配して探しに来てしまう。
どうするべきか迷っていると、
月島くんが通りかかった。

｢あっ、月島くん！｣
月島｢え、あ、おはようございます…｣
｢おはよう、お願いごとしてもいいかな…？｣
月島｢内容によっては嫌です。｣
｢突然マネの仕事しないといけなくなったって
京治に伝えて欲しいの。それで私の事しばらく探させないようにブロックしてほしい。｣

月島くんは少し考えて、察したらしく、
月島｢…嫌です｣
とキッパリお断りされた。
｢お願い、今度ショートケーキ美味しいお店連れてってあげるから！！｣
月島｢え、それなら…仕方ないですね…｣
みんなの好みはあらかじめ把握しておいてよかった。

｢ありがとう、｣
月島｢僕、仕事はちゃんとやる人なんで
約束忘れないでくださいね。｣
｢もちろん、ありがとう。｣
月島｢…あと、頼れる人はちゃんと頼ってくだサイ。｣
この言葉に月島くんなりの優しさが感じられた。
｢本当にありがとう、｣
ぺこり、と頭を下げた月島くんは
何も知らない顔で食堂に入っていった。

私は、黒尾さんとの待ち合わせの場所に向かった。
もちろん、例のジャージも一緒に。