思い ページ5
「澤村さんは…コートに立ってる時、
えーっと…何を…考えますか?」
Aちゃんは、少し戸惑ったような、
悩んだような、そんな声で質問をしてきた。
澤村「んー、そうだな…相手がどう出てくるかとか
やっぱり試合のことばっかりかな。」
「そう、ですよね。」
やっぱり、と割り切ったような顔で頷いていた
Aちゃんは何処か寂しそうだった。
澤村「まあ、好きな人がいたら別、かもね。」
「えっ、」
パッと顔を上げて驚くのを素直で
面白いと思いながら試合中の赤葦を見る。
澤村「強くなりたい、勝ちたい。っていうのは
いつでも心の中にあって。でも好きな人がいると、
バレーばっかだとダメだ、とか
見ててくれてるかな、とか思うのよ。実は。」
「澤村さん、好きな人いるんですか?」
澤村「あ、いや、居ないけど、
前彼女居たことあるからさ、」
「あ、そうなんですね。
…京治は、どう思ってるでしょうか。」
不安げなAちゃんは顔を俯かせた。
澤村「人の気持ちはわかんないから
俺がどうこう言うのは違うと思うけど
Aちゃんの事、
ちゃんと考えてはいると思うよ。」
「だといいな…」
澤村「不安だろうけど、信じる、って大切だよ。」
「…ちゃんと信じられるようになりたいです。」
澤村「赤葦に話したらきっと答えが出ると思うよ。」
ちらりとAちゃんを見ると
こくり、と頷きながら赤葦を見つめていた。
「ありがとうございます。
ちゃんと話してみます。」
そう言ってお辞儀するところは
赤葦に似たんだろうな、と思った。
そこからは特に深い話はせず、
ただ3対3の話をするだけだった。
何だかんだで解散になり、
軽く片付けをAちゃんと一緒に手伝った。
A「澤村さんは自主練とかしなくてよかったんですか?」
澤村「日中の練習試合がキツくてさ、笑
それだけで十分だったよ。」
「お疲れ様です。」
Aちゃんの後ろで日向と灰羽が
ふざけあっているのが見えた。
灰羽はこっちに気づかず近寄ってくる。
澤村「Aちゃん危ない、」
「わっ、」
ぐっ、と引き寄せてとっさに抱きしめる。
夜久「ちゃんと周り見ろ!!」
そう言って夜久の蹴りが入った。
とりあえずAちゃんに
怪我がなくてほっとしていると
「あの、ありがとうございます…」
と声が聞こえ思わず離れた。
澤村「あ、ごめん、」
「いえいえ。あ、荷物置いてきます。」
澤村「あぁ、うん。」
そう言うとAちゃんは
倉庫に荷物を置きに行ってしまった。
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まなか | 作者ホームページ:http://mana_no_syo_settu
作成日時:2019年4月20日 0時