いつか ページ4
体育館に向かうと、
灰羽くんがレシーブ練をしているのが目に付いた。
「見て京治、ちゃんとレシーブ練してる」
赤葦「本当だ。偉いね。」
体育館の外から2人で灰羽くんを見守っていると
奥で3対3をしていた光太郎と目が合う。
木兎「A〜!赤葦〜!」
ブンブンと手を振る姿は幼稚園児のようだ。
私は靴を脱いで体育館に入ったのに対して
京治はシューズを履き替えて体育館に入った。
「あれ、やるの??」
赤葦「見つかっちゃったからね、」
「京治、」
ふぅ、と息を吐いて先を歩く彼を呼ぶ。
ピタリと止まった彼の後ろまで駆け寄る。
赤葦「どうしたの?」
くるりと私の方を向いて首を傾げた。
「なんでもない、無理しないでね。」
赤葦「うん、ありがとう。」
木兎「赤葦まだー??」
光太郎のその声に、ため息をついてから
振り返り、今行きます、と彼は伝えた。
赤葦「まだ、マネの仕事ある?」
「えっと、今日のスコアまとめて終わりかな」
赤葦「あのさ、」
日向「A先輩試合見ませんか!?」
黒尾「あーあ、チビちゃんやっちゃった」
やれやれ、と呆れる黒尾さんが
京治の肩に手を置いた。
日向くんは血の気が引いたような顔をして
日向「あ、あの、えと、ご、ごめんなさい…!!」
「え、どういうこと??」
黒尾「だから、赤葦が言いたかったことを
チビちゃんに先に言われちゃったってことよ。」
「そうだったの??」
京治の方を見ると、
口をムッとさせて頷いていた。
黒尾「まあ、Aちゃんは
見るつもりだったみたいだけど?」
赤葦「えっ、」
黒尾「でしょ??」
「えっと、はい…」
黒尾「よーし。じゃあ始めっか。」
はいはい、と日向くんを引っ張っていく
黒尾さんを京治はキョトンとした顔で
ただ見つめていた。
「行かないの?」
赤葦「あ、行く、うん。」
じゃあね、と手を振って
彼はすぐにコートの中に行ってしまった。
彼はバレーが好きで、これからもこうやって
コートに立って、どんどん強くなる。
そして、彼の存在が遠くなる。
試合の時もこんな気持ちになるのだろうか。
モヤモヤして、苦しい。
澤村「お、3対3か。」
と、横に現れたのは烏野の主将さん。
「えっと…澤村さん??」
澤村「合ってるよ、Aちゃんだっけ?」
澤村さんが座ったのを見て、自分も座った。
「はい、あの、ひとつ聞いてもいいですか?」
澤村「ん、いいよ。なんでも聞いて。」
そういった澤村さんの顔は
コート内を見つめたままだった。
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作者名:まなか | 作者ホームページ:http://mana_no_syo_settu
作成日時:2019年4月20日 0時