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 「あきれた」


Aは心底軽蔑したように、ハーマイオニーに言った。司書のピンスがギロッと彼女の方を睨んだが、そんなのお構いなしだ。


「ハリーが可哀想だわ、親友にまで応援されないなんて!」

「ロンは劣等感を覚えてるのよ、仕方がないわ…」


ハリーポッターはどういう訳だか学校の代表に選ばれてしまっていた。Aはそのことにとても動揺している。相手はあのクラムに、フラー・デラクールに、それにセドリック・ディゴリー。何歳も年下のハリーが太刀打ちできるとは到底思えなかった。


「ロンが信じてくれるかくれないかで、ハリーのモチベーションは段違いに変わると思うんだけど」

「まあ、そうね…」

「それに誰かがハリーを陥れる為にゴブレットを騙したと思う方が、賢明だわ」

「私は、そう思っているのよ」


ハーマイオニーは、少し憤慨したように言った。


「あ、そうよね…。ごめんなさい」

「気にしないで」

「…ねえ、見て。ビクトールだわ!」

「あら本当!…あの人来るとちょっと迷惑しちゃうのよね」


「あの人のファン、煩いから」そう付け加えながら、ハーマイオニーはうんざりしたように書き終わったばかりのレポートを丸めた。Aはクラムに手を振ろうと思ったが、ふと彼の視線が自分の横にいる少女に向いていることに気づき、口角をあげた。


 ……もしビクトールがハーマイオニーを気に入ってしまったと知ったら、ロンはどう思うのかしら。


「若いって良いわねー!」


母親や叔母さんが言いがちな台詞を言いながら伸びをすると、今度こそマダム・ピンスに叱られてしまった。仕方なく図書室を出ながら、同じマグル生まれなのに、ハーマイオニーは好きな人に愛されていていいな、なんてぼんやり思ってしまう。きっと彼女もロンも、そのことには気付いていないけれど。


 図書室に残る彼女の姿を遠目に見ながら、Aはあのボサボサ髪が、堪らなく羨ましくなった。



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- 最近この小説を知って面白くて読んでます!貴方様の小説すごく面白いのでゆっくり待っています!頑張ってください! (2021年2月20日 21時) (レス) id: e6d54d0e11 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごく面白いです!!!たのしみです (2021年1月13日 1時) (レス) id: 50dc2b53cf (このIDを非表示/違反報告)
梨雪(プロフ) - ピンクジョイさん» ありがとうございます(T_T)励みになります...!もう少々お待ちください...( (2020年12月29日 7時) (レス) id: 9863b06866 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクジョイ(プロフ) - すごく面白くて読みやすいです!更新遅くてもいいので続き楽しみにしてます^^* (2020年12月11日 16時) (レス) id: eb4e569138 (このIDを非表示/違反報告)
梨雪(プロフ) - tokitaさん» ありがとうございます(T_T)最近忙しくて思うように更新出来ていないのですが必ず続き出します、、、!!! (2020年11月28日 18時) (レス) id: 1aa1f35963 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梨雪 | 作成日時:2020年8月29日 10時

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