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 「…A」

「なあに、ドラコ?」


そうマルフォイに返事をしたのはAではなく、パーキンソンだった。彼は無意識にAの名前を呼んでいたことにも気がつかない。ただひたすらに談話室の一点を、彼女が座っている一点をぼーっと見つめながら、彼は胸が締め付けられる思いだった。今までのように話しかけたい、一緒にいたい。ーでも。


 事の発端はついこの間の夏休み。父親であるルシウスが、ドラコ宛の手紙を良かれと思って受け取ってしまったのが、全ての悲しみの始まりだった。


「如何なさいましたか、父上。」

「…これが、お前宛に」


ドラコは父親の手の中に、見慣れた筆跡で自分の名が書かれている手紙があるのを目敏く見つけた。Aからだ。思わず手を伸ばすと、ルシウスは若干目を細めた。


「おやおやドラコ…相手がお分かりかな?」

「あの、…はい、あの、お返しください、父上」


しかし父親は手紙を渡さなかった。ドラコは途端に察する。父上は、Aからの手紙だということを知っているのだ…それに、彼は彼女がマグル生まれだというのも知っている筈だ。いつの日か、マグル生まれ(しかも2人)に成績で負けているのは嘆かわしいと、小言を言われたことがある。


「A・ヘアフォードと書いてあるが」


ルシウスは冷たく吐き捨てた。息子は無言で頷く。


「…いいか、この子は穢れた血だ」

「彼女をそんな風に…!」

「ドラコ!!お前は血を裏切る者に成り下がってはいけない!!!」


滅多に怒声を浴びせない父親が、凄まじい形相で自分を叱責するのを見ながら、ドラコは自分の中で、何かがバラバラと崩れていくのを感じた。


「…すみません」

「彼女と金輪際、関わってはいけない」

「別に今も関わってなど…」

「手紙の交換をするのにか?」

「それは…」


手紙は向こうが勝手に送ってきただけだ、という言い訳は、何故だか通らないような気がした。父上には全てお見通しに違いない。


「…いいか、この手紙が最後だ」


ルシウスは些かやり過ぎたと反省したのか、手紙を処分するような真似はしなかった。少しばかり安心したドラコは部屋に戻ると、その場にヘナヘナと座り込む。ーただ単に血統が違うというだけで、障害は思った以上に大きい。


 ー「星空を、書き換えたいわ」。


彼女の声が、脳内にこだまする。


 彼はそっと手紙に唇を押し付けると、自分の気持ちと一緒に、それをトランクの奥底に仕舞い込んだのだった。



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- 最近この小説を知って面白くて読んでます!貴方様の小説すごく面白いのでゆっくり待っています!頑張ってください! (2021年2月20日 21時) (レス) id: e6d54d0e11 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごく面白いです!!!たのしみです (2021年1月13日 1時) (レス) id: 50dc2b53cf (このIDを非表示/違反報告)
梨雪(プロフ) - ピンクジョイさん» ありがとうございます(T_T)励みになります...!もう少々お待ちください...( (2020年12月29日 7時) (レス) id: 9863b06866 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクジョイ(プロフ) - すごく面白くて読みやすいです!更新遅くてもいいので続き楽しみにしてます^^* (2020年12月11日 16時) (レス) id: eb4e569138 (このIDを非表示/違反報告)
梨雪(プロフ) - tokitaさん» ありがとうございます(T_T)最近忙しくて思うように更新出来ていないのですが必ず続き出します、、、!!! (2020年11月28日 18時) (レス) id: 1aa1f35963 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梨雪 | 作成日時:2020年8月29日 10時

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