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序章 ページ1

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 人々が雑多するそのホーム。マグルー非魔法族の「ありきたり」「当たり前」とは程遠いその場所は、夢のように美しく、夢のように儚い。


 「お母さま、行ってきます」


1人の娘がホグワーツ特急の蒸気の中に消えて行ったとき、A・ヘアフォードは再びひとりぼっちになった。心から嬉しそうに汽車に乗り込んでいる娘に手を振りながら、Aは寂しさを紛らわすようにもう一方の手で杖をくるくると持て余している。


 「A、此処にいたのか」

「あらハリー!久しぶりね」


彼女が慌てて笑顔を取り繕うも、ハリー・ポッターは久々に再会した友人心の奥にある悲しみに気づかずにはいられなかった。


「…A、良かったら」


良かったらまた仕事に復帰しないか、と申し出ようとしたハリーの言葉を遮って、彼女は緩やかに微笑みながら言う。


「生憎だけど、まだそんな気分にはなれないわ」

「そうか…。いつでも、待っているからね、私たちみんなが」


「そうよ、そうよ」という声がしたかと思うと、彼女はいつの間にかハリー・ポッターの妻、ジニーをはじめ、ハーマイオニー・グレンジャー…基ハーマイオニー・ウィーズリーやら、ロン・ウィーズリーやらに囲まれていた。


 彼女は途端に小刻みに震えだす。此処にいる連中は皆、幸せなものばかりだ。好きな人と結婚をし、子供にも恵まれ、おまけに学生時代の親友が親戚になっておりー。ー彼女とは正反対の幸福な人間たちなのだ。そう思うと居ても立ってもいられず、彼女は後退りしたー「さ、さよなら…」


 彼らの顔など見たくもない。

 皆、不幸な自分を嘲笑いに来たのだ。


 彼女は不快感とも悔しさとも言える苦い感情をなんとか抑え込むと、踵を返して歩き出した。


 「あ、すみません…」


とん、と誰かと肩と肩がぶつかり合う。相手と目があった途端、彼女の瞳孔が見開かれた。




ー ー ー




 A・ヘアフォードは不幸な魔女だ。


 結婚して間もなく夫に先立たれ、やっとのことで掴んだ闇払いの職も、1人娘を女手ひとつで育てるために手放した。


 彼女は孤独な魔女だ。


 学生時代から、孤独だった。否、孤独という殻に自ら入り込んでいたー多くの者たちは彼女のことを友達だと思っていたのだからー。


 そして、彼女は美しい魔女だ。


 ー「美しい」。


 涙を流しながらそう言ってくれたのは、一体誰だったろう。




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第一章[白昼夢で]→



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- 最近この小説を知って面白くて読んでます!貴方様の小説すごく面白いのでゆっくり待っています!頑張ってください! (2021年2月20日 21時) (レス) id: e6d54d0e11 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごく面白いです!!!たのしみです (2021年1月13日 1時) (レス) id: 50dc2b53cf (このIDを非表示/違反報告)
梨雪(プロフ) - ピンクジョイさん» ありがとうございます(T_T)励みになります...!もう少々お待ちください...( (2020年12月29日 7時) (レス) id: 9863b06866 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクジョイ(プロフ) - すごく面白くて読みやすいです!更新遅くてもいいので続き楽しみにしてます^^* (2020年12月11日 16時) (レス) id: eb4e569138 (このIDを非表示/違反報告)
梨雪(プロフ) - tokitaさん» ありがとうございます(T_T)最近忙しくて思うように更新出来ていないのですが必ず続き出します、、、!!! (2020年11月28日 18時) (レス) id: 1aa1f35963 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梨雪 | 作成日時:2020年8月29日 10時

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