四話 ページ5
Aがこの学校にやって来た。
それだけでも俺にとっては衝撃的でムカつくことなのに。さらにあの雌豚は土方の野郎なんかと仲良くなってやがって。
だが久しぶりに見たAは中学の頃よりも背が伸びて見た目だけは良くなっていた。中学校の頃も男に囲まれていたが、女にはガン無視を決められていた女だった癖に。
なのに、アイツはまるでそんな過去が無かったように自己紹介をした。ありえねぇ、あんな泣き虫で弱くて誰も友達も、何も居なかっただろ。
…ムカつくんでィ、あんな女。
「…あ、お、沖田くん。大丈夫?」
「…!!っ、は?ここ、どこでィ」
目が覚めると隣に困ったような顔をするAがいた。辺りを見渡すと保健室で。
「…さ、さっき蹴られて、それで倒れたから、だから付き添い」
おろおろと喋るAに酷く苛つく。普通に喋れねぇのかィこの女。Aの髪を引っ張って耳元でゆっくりと囁いてやる。
「土方の野郎と付き合ってんのかよ。なぁ、インラン」
「…ッ!?も、もうやめてよ…っ!私のことが嫌いなのはいいけど土方くんを出したりしないで…っ」
「…ハッ。一丁前に俺に反抗すんのかィ?お前なんか弱虫の癖に」
ベッドに押し倒すとAは泣きながらやだ、やめて、と押し返してくる。勿論そんなの男にとってはなんのダメージでもない。コイツの泣き顔は昔からぞくぞくする。もっと泣かしてぇ、もっと俺を見ろよ。
「…なぁ、中学の頃もこうやってベッドの上でお前のこと虐めてやってたよなァ?あん時もただ泣くしか出来ねぇ女だったけど」
「…っや、触らないで!もう、変わったんだから!」
「…何処がだよ。ほら、逃げてみな」
「っ、沖田くんなんか大っ嫌い!!もう、私に構わないで…!」
その言葉に少し力を緩めてしまった。その隙にAはベッドから降りて保健室から出る。保健室には微かなAの甘ったるい匂いと俺だけが取り残された。
何故か心臓が酷く傷んだ。
44人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
光華(プロフ) - お疲れごはん、リアルタイムで楽しく読ませていただいてます!こちらも面白いです!私は完全に土方さん推しなので、土方さんに落ちないかな((殴 どちらも更新楽しみにしてます! (2020年6月6日 22時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:マピト | 作成日時:2019年12月6日 22時