天高く3-10(11) ページ12
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マイコが呼び止めた店員さんは、北山さん。
そんな都合よく推し店員さん続く？
前に見た時は、かわいさハンパない赤ずきんだったけど、白シャツ北山さんは爽やかで素敵。
お待たせしました、と微笑む北山さんは、ビジネススマイルだとわかっていても、ハートにずっきゅーん、てなる。
「あの、忙しいところすみません」
マイコが気遣いの一言を入れるが、ここからはさっきと同じ話だ。気を遣う気があるのかどうか。
「こ、告白、ですか？」
北山さんが戸惑っている。そりゃそうだ。
「少しお時間いただいてもよろしいですか？」
注文やお料理の提供が終わったらでいいかとのことだった。もちろんですとも。無理言ってるのはこちら(マイコ。ここ重要)なので。
「では、後ほど参りますね」
北山さんは笑顔で会釈した。
北山さんといい藤ヶ谷さんといい、ここの店員さんってほんとに対応よくて神だわ。
しばらくおしゃべりしていると北山さんが来てくれた。お仕事中にすみません。
「先程の質問…告白してどれぐらい待つか、でしたよね。2、3日の間に何かリアクションがあるか様子を見て判断しますね。一週間くらい待ったこともあるけど、待ち時間が長く感じるから、それが限度かな、ってお料理持って歩きながら考えてました」
僕はそんな感じです、と笑う。
「じゃあ、告白されても、2、3日で返事しますよね？」
「告白されたら…」
北山さんは、少し考えている。
「その日にすぐ返事しますね。好きならなおさらだし、そうじゃなかったとしても気を持たせるのも悪いですよね」
なるほど、と二人で頷く。なんだか男前な答えだ。
「……」
一瞬、何かを考えるふうにして、北山さんは私たちに向き直る。
「個人的な意見なので、参考になるかわかりませんが、こんな感じで大丈夫ですか？」
ふふ、と照れたように笑う北山さん。たぶんこれはビジネスではなくて、素の姿なんだろう。
「忙しいのに時間作ってまで来てくれてありがとうございました！」
座ったまま、マイコが深々と頭を下げて、私もそれに倣った。
「どういたしまして」
会釈をして立ち去る北山さんの姿を見送って、マイコは長い息を吐いた。
「あーーー、かっこよすぎる。北山さん！」
「わかる！ほんとかっこいい！」
共感したのも束の間。
「マグカップに入れて持ち歩きたい」
はぁぁぁ？
マイコ、それちょっと意味わかんない。
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作者名：lettuce | 作成日時：2023年1月28日 0時
