降谷先輩。 【降谷零】

その37 ページ39

*°


｢誰だよ…体育祭なんて作ったの…｣


｢運動部マネージャーが何を言ってるの｣


｢それとこれとは別問題ですよ梨々実さん｣



翌日、運良くか悪くか潔い程の快晴。体育祭当日。



運動部マネージャーだからって運動が好きとは限らない。そんな中の1人が私である。



｢まったく、嫌になっちゃう｣



ギラギラと照りつける太陽を見上げて呟いた。



｢…本当にね｣



横目に見えた梨々実の顔は随分と悲しげだった。



梨々実まで巻き込んでしまって申し訳なかったなぁ…。



｢本当によかったの？｣


｢決まったことなら仕方ないでしょ｣


｢でも、あの人ならAが言ったら…｣


｢いいの｣


｢でも…｣



でも、でも、と反論する梨々実をするりと躱す。



これ以上梨々実に何か言われると揺らいでしまいそうで怖かった。



｢ねぇ、梨々実、お願いがあるんだけど｣


｢…聞きたくないけど聞くだけ聞いてあげる｣



私が出る種目の招集の声が聞こえた。




｢今日は楽しんで｣



そう言ってから梨々実と反対方向へと足を向かわせた。



振り返りはしなかった。

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