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その38 ページ40




まったく、何が嫌で先輩と脚を繋がれなくちゃいけないのだろうか。



午前中の部最後の種目、部活対抗二人三脚リレー。



何故か私と先輩のペアは男子テニス部のアンカーを任されていた。



「先輩、汗臭いのであまりくっつかないでもらえますか」



「これ以上は無理だ、お前がもっと離れろ」



「私も無理ですよ」



脚が繋がれているお陰でできるだけ離れてもその距離は1mに満たない。



この距離感にさっきからやたらと心臓がうるさい。



そう言えば人の一生の鼓動の回数は決まっていると聞いたことがあった。



それならば一体今この瞬間にどれだけの寿命を削っているのだろうか。



「早死にしたら先輩のせいですからね」



「急に何を言っているんだ」



まったく真意は伝わっていないらしい。よかったよかった。



なんてことを考えているうちにリレー開始の時間になった。



「足引っ張るなよ」



「否定出来ないのでとりあえず、精一杯は頑張らせてもらいます」



本当に、どうして運動がそこまでできるわけでもない私が選ばれたのだろうか。



段々と何も対価がない事が割に合わなく感じてきた。



そうだ。




「先輩」



「何だ」



先輩の顔を見ようとしたがこの距離で先輩を見上げると首が大変なことになるのでやめた。



その代わりに前だけを見据えながら言った。




「もし私達が優勝したら私の言う事聞いてくれませんか」



「はぁ?」



「いいじゃないですか。足を引っ張らなかった私へのご褒美ということで」



そう笑うと少し呆れた溜息が上から聞こえる。



「それで内容は?」


「勝てたら言います」



引かれた引き金からパンッという音がグラウンドに響き渡った。

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レン - そしてすずな。幼なじみのnameだ (2018年7月1日 18時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
レン - へ!?須藤?私呼んだ? (2018年7月1日 10時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
ひゆめ(プロフ) - 完結おめでとうございます!降谷先輩面白かったです!!!!続き楽しみしてますね! (2018年6月20日 22時) (レス) id: d9d137c800 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 第1幕完結おめでとうございます!読んでいて凄く楽しかったです。第2幕期待しています! 更新頑張って下さい! (2018年6月20日 19時) (レス) id: 19822e9e12 (このIDを非表示/違反報告)
志歩(プロフ) - 超キュンキュンします!!(^○^)更新頑張ってください! (2018年6月3日 7時) (レス) id: 34fe10cc01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:珠々菜 | 作成日時:2018年5月21日 21時

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