公開処刑、おつかれさんです。 ページ9
「あ゙ーっ!!めんどくせぇーっ!!」
「ゼラうるさい」
「そっか、そろそろハロウィンだもんね」
ゼラが叫ぶ。アキナとマコトの視線の先には一通の古びた和紙のような手紙。そう、ゼラは死者の日……つまりハロウィン対策として、今年も招集を受けたのだ。
「みんな集まってどうした」
「あら、ルヲくん」
「ハルキングは?」
「あっルヲ!!招集受けた!?」
ゼラが騒いでいるところにルヲが寄ってくる。アキナは近くにハルキがいないことに気付く。
「ハルキは用を足しに行ってる。ゼラ、おれは招集されてない」
「ええー!?なんでー!?」
「……おれ、シニガミじゃないから」
「そういえば、ルヲくんは使い魔だったよね」
「くっそー」
ゼラは招集されていないルヲを恨めしそうに見ている。少ししてからハルキが合流する。
「あれっ、何の話してるの?」
「ゼラが公開処刑されんだって」
「ぷっ……、公開処刑……」
「確かにぼくにとってこの案件は公開処刑だよ」
「ゼラ」
ルヲは合流したハルキに経緯を話す。アキナは公開処刑がツボに入ったようで笑いすぎて涙を流している。マコトはゼラに向けて笑顔で親指を立てる。
「ハロウィンの招集ってなにするの?」
「安心安全な死者の日にするため、ぼく達シニガミが警備的なのをするんだ」
「へぇ〜」
「監視されながら仕事すんだよ……」
「まさに公開処刑だな」
「やめてよ、うちの学校じゃないんだから」
談笑していると暗がりから気配が。
「あーはいはい。どーぞ」
「これはどうも、お邪魔しますな」
ゼラが暗がりに声かけるとそこからゼラによく似た雰囲気の男性が現れる。
「こんにちは。わたしはズーマ、というものです」
「ねぇマコト、知り合い?」
「うん、ゼラの親戚なんだって」
「おや、マコト殿ではありませぬか。ご無沙汰しております」
「いえいえ、こちらこそ」
あいさつもそこそこに、ズーマはゼラに言う。
「ゼラよ。今年の死者の日は少し長くなりそうだ」
「えぇ〜!?こき使われるの〜!?」
「前夜から1週間。紛れ込んだ輩を刈るのですぞ」
「……報酬は?」
「文に書いてあろうに」
ゼラは面倒くさそうにのそのそと動く。そして、何かを思いつくとズーマに耳打ちする。
「……聞いてはみるが。あまり期待しないでおくれ」
「ありがとう、ズーマ」
ではな、とズーマは暗がりに溶けるように消えてしまった。
「ズマっちって何しに来たの?」
「ぼくが逃げないように釘刺しに来た」
「物理的に刺さってるよ」
「……五寸釘」
ゼラの服には釘がつき刺さっている。本人曰わく、GPSみたいなものらしい。
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作者名:F-reaSAN(ふれあサン) | 作成日時:2019年10月22日 23時