出会いは本当に突然。 ページ1
「た、武田先生居ませんか........」
キキュッ、ダンっ!!と大きな音を立てる体育館で、私のそんな弱々しい声は勿論誰からも拾われず。心の中でひっそりと私をパシリにした担任に恨み言を零した。
帰りのホームルームが終わった時、コミュニケーションが下手くそで口下手で人見知り拗らせてる私に担任は「十河、お前どうせ暇だろ?武田先生にウチのクラスの現文のプリント渡してきてくれ」と軽いテンションで言われ、ノーと言えない私は震えながらそれを受け取った。多分体育館でバレー部見てるから、と告げられて更に深くため息をつきつつ、さっさと渡して帰ろうと体育館に向かって、扉を開けて現在。
自己主張が苦手というか嫌いな私はこそこそと泥棒みたいに中を窺うことしかできない。
というか、バレーをこんな間近で見たの初めてだな。皆よく動けるなぁと目的を忘れて思わず釘付けになる。今はチームに別れて試合形式の練習をしているらしく、「ナイッサー旭さん!!」「レシーブレシーブ!!」と皆が声を張ってボールを繋げている。よく繋ぐなぁ........。と感動しながら見ていて気がついた。私から見て左側のコートの一番後ろ中央の人、その人が一番ボールを繋ぐというか、なんだろう、とにかく上手かった。右側の髪を一部染めてる人も上手いけど、左側の人は周りを見てるというか。
____私が一番上手いな、かっこいいなと思ったのが、その人だった。
「すごい........」
おもわず漏れた声にハッとして、武田先生を探さないとと首を振った。でもここで出て集中してる所を邪魔しても........と考えあぐねていた時。
「どうしたの?」
「___っ!ひぃっ........!!?」
後ろから柔らかい声に背中をつつかれて、驚きのあまり振り向きざま、扉に後頭部をぶつけてしまった。ガドトンっ、と日常生活でまず聞かない鈍い音が体育館に散らばる。何で押すタイプなんだウチの体育館は。引くタイプなら木製の壁にぶつかるからまだ痛みは少ないのに。
大きな音を立ててしまった私は体育館の中にいる人達の視線を全て集めてしまった。練習止めてごめんなさい........わざとじゃないんです........。
慌てて美人な女の人に頭を下げる。
「つっ.....す、すみません、ごめんなさい!」
「えっ?いや大丈夫だけど、大丈夫?」
「おーい、どうした?」
「凄い痛そうな音したけど」
片手にプリント、もう片方で後頭部を抑える私を見て、大丈夫か?と聞いてくる。
「う、大丈夫で......」
す、と言いかけた声が途中で止まる。
声の主は、私が一番かっこいいと思った人だった。
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ちんすこう - 更新しないんですか?凄く楽しみ待ってます。数ある大地さんのお話の中で一番好きです! (2020年5月12日 10時) (レス) id: 9e27674b7b (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - 草さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。そうなんですね・・・!知識不足でした、ありがとうございます。大地さん大好きなので我慢出来ずに書いちゃいました。読みやすいと言っていただけて安心しました。妬いちゃう大地さん難しかったので萌えて頂けてなによりです。 (2019年11月5日 21時) (レス) id: 3e7d8a8bee (このIDを非表示/違反報告)
草(プロフ) - 早生まれは1/1から4/1で、遅生まれが4/2から12/31なので三月生まれの夢主は遅生まれではなく早生まれですね。大地さん夢珍しい上に文が読みやすいです。妬くところ大地さん普通の高校生で萌えました。 (2019年11月2日 23時) (レス) id: 59c85b2532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏 | 作成日時:2019年9月8日 20時