story 89 ページ39
私の最後の覚悟。
ーーー
｢A、これは予想される、
質問への答えだ。
目を通しておいてくれ。｣
ジョーが慌ただしく出て行く。
相談もせず、記者会見を開く様にさせて、
ごめんね。
ジョーから渡された書類を見ず、
そのままゴミ箱に捨てた。
‹ホテルの前から中継で、Aさんの、
緊急記者会見が行われ様としてます。›
‹来たぞっ！›
｢ご着席下さい。
皆さん質問は各社順番にお願いします。｣
‹Aさん、
今回の事を説明して頂く前に、
まず｢おかえりなさい｣と言うべきでしょうか？
そして、休業なされたのは駆け落ち説が、
出てるんですが、そこのとこどうですか？›
｢それに関しては、
私からご説明申し上げます。｣
‹Aさんの口からお聞きしたいのですが、›
ジョーの言葉を遮るぐらい、
記者の人達の質問攻めと、
カメラのフラッシュが私一人に浴びせられる。
『私事の事で、お忙しいところ、
大勢の皆様にお集まりして頂き、
ありがとうございます。
本日、私がこうして皆さんの前に出て来たのは、
デビューさせて頂いた、9月13日をもって、
引退することを決意致す事をご報告を致します。
その理由と致しましては、
歌手のAではなく、
一人の女性として、
生きていきたいと言う思いから、
この様な決断に致しました。
そして引退日である13日の凱旋LIVEを最後に、
歌手としての私に幕を閉じようと思っています。』
‹ファンの皆様に一言お願いします。›
『そうですね、"良い状態の私"を、
思い出として残して欲しいなって思ってます。』
｢すいません。
これにて、記者会見は終わりに致します。｣
『ジョー、
ごめんなさい、私、』
｢俺がお前を縛り過ぎたんかな?｣
『それは違う。
自分の居場所が分からなくて苦しかった。
いろんな事あったけど、
やっと今、私楽になれた。
何でやと思う?』
｢……｣
『吐き出したから、全部。』
今までついてきた嘘。
苦しかった遥輝への想い。
心の中の苦しいもの全部キレイに、
吐き出せた。
だから、後悔してない。
そして、歌い手としていられた事も、
全て、幸せやった。
ジョー、
私を見つけてくれて、
素晴らしい景色を見せてくれて、
本当にありがとう。
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作者名：haru | 作成日時：2021年1月10日 19時
