サンタが悲劇を呼び起こす

tragedy 24 ページ24

書斎を出ようとした時、後ろから私の名前を呼ばれた。

「アーヤ。」

振り返って見ると黒木君が立っていた。

「送ってくよ。」

「え、悪いよ。私一人で帰れるし。」

すると黒木君は見とれてしまいそうになるほどの笑みを見せた。

「途中で爆弾に吹っ飛ばされても知らないよ？」

ふ、吹っ飛ばされる…。

それだけは嫌だ。

私は黒木君の脅しのような発言で黒木君と一緒に帰ることになってしまった。

すっかり外も暗くなって電灯だけが灯り、真っ白になった道を黒木君と歩いていると黒木君が言った。

「ねぇ、アーヤはこの事件の犯人、誰だと思う？」

この事件の犯人？

私はしばらく考え込んだが私の小さな脳では答えを出すのは無理だった。

「わからない。」

結局考えた時間も無駄になってしまった。

「黒木君は誰だと思うの？」

私も試しに聞いてみると黒木君から驚きの答えが出てきた。

「サンタじゃないかな。」

「サンタ！？」

黒木君からそんな子供が言うような答えが出てくるとは。

でも、黒木君はなにかサンタが犯人だって根拠があるから言ってるんだよね。

「その根拠は？」

私は聞いてみると黒木君が私を見た。

「じゃあ、逆に聞くよ。俺達KZのことを知ってて、アーヤと若武の家の場所も知ってて、爆弾を持ってそうな人、誰かいる？」

い、言われてみればいない…。

黒木君は私が思っていることを理解したらしく続けた。

「となると残るはサンタしかいないでしょ？まあ、サンタが犯人だっていう証拠が直接あるわけじゃないけどこう考えてみると可能性はある。」

やっぱり黒木君は違うよね。

いつも私と考えている方向が違う。

「でも、もしサンタが犯人だとして、それはそれでおかしくない？サンタっていないんでしょ？」

私はついさっき上杉君にサンタが実現しないということを知らされたからサンタはいないということに定着してしまう。

「いや、サンタが実現するっていう可能性はなくはないよ。」

「え？」

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