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彼女と同棲しているという家にあがりこんでしまった。
週刊誌の記者とかに見られてたらどうしよう。
大ちゃんは着ていたパーカーを脱いで洗面所でうがいをしている。
居酒屋で眠そうにしていた目はほぼ閉じているので、帰宅後のルーチンを無意識にやってるみたい。
…器用だなぁ。
「私、明日早いからもう帰るね」
たぶん…聞こえていない。
店を出た後、飲み足りね〜! ってうるさい大ちゃんとコンビニで買ったお酒は冷蔵庫に入れることにした。
他人の家の冷蔵庫を開けるのって抵抗があったけど、開けてみるとほぼ何も入っていなかった。
美波ちゃんは仕事で家に帰ってきていないどころか、会うことすら出来ていない…って寂しそうな顔してたっけ。
忙しいから2人とも外食中心なのかな…
冷蔵庫の前にしゃがみ込んでいたら、いつのまにか右横に座り込んでいた大ちゃん。
私の肩に腕が回ってきて…
グッ、と視界が揺れた。
「っ…!」
おそらく唇を狙った彼のそれは…
不安定な体勢でずれて、私の右頬に触れた。
大貴「ん……美波ぁ…」
「!!」
数秒、抱き締められて耳元で囁かれた名前。
それは私のものじゃなかった。
甘えるような…少し苛立ったような言い方。
腕の力が弱まったと思ったら、そのままキッチンマットの上に倒れこむ大ちゃん。
静かな部屋にスースーという穏やかな寝息。
私の心臓はバクバクとせわしなく音を立てていた…
…
深夜の帰り道。
キッチンで寝てしまった彼にタオルケットらしきものをかけて出てきた。
家の近くの横断歩道で信号待ちをしていた。
あ、そうだ。
『家の鍵はポストに入れました』
そう連絡しておきたいのに、視界が滲んでちゃんと打てているのかよく見えない。
耳元で聞いた彼の声。
彼が触れた場所がまだ熱を持っているような錯覚まで起こしている。
お酒のせいか、熱のこもったあの声が耳から離れない。
それは私の名前を呼んではくれなくて…
?「A…?」
聞き覚えのある声に反応して顔を上げると
青い信号機を背にして覗き込む、不思議そうな幼馴染の顔。
薄暗がりで見にくいけど、私の顔を見て驚いた様子。
「…っ……侑李…」
侑李「え…なに…どうしたの…?」
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年7月19日 0時