（26） ページ6
Aside
燐音を追って、ニキも居なくなっちまった。
再び静まり返った病室で、俺は思わず頬を押さえた。
…叩かれた頬がビリビリと痛む。
けど、それを気にするよりも前に、燐音の言葉が蘇ってきた。
…大切なものはねェのか…ねぇ…
俺は、思わず両手を見た。
なんもない、ただの手のひら。
…俺には、何も無いと思ってた。
人生に意味なんて無い、だから大切なものを作ったって意味が無い。
……そう思ってた。
『けど…』
…本当は、沢山あったんだ、大切なもの。
俺がちゃんと見れてないだけで。
手のひらに力を込めてないから、こぼれ落ちていくだけで。
…でも。
今度は、ぐっと手をにぎりしめる。
…こんなにも、沢山あったんだ。
俺を必要としてくれて、俺の人生を意味のあるものに変えてくれる人達が。
『…なァ燐音。もう遅いかな』
…ううん、遅くない。
遅くなんて、ない。
今度から、ちゃんとその手に大切なものを握りしめるから。
だから…
『待ってて』
暮れゆく空の光が、ゆっくりと病室に入ってくる。
その光を受けながら、そっと指を組んだ。
どうか…
もしも神さまがこの世界にいるのなら、どうか…
俺にもう一度だけチャンスを。
"意味の無い人生"だと諦めて、何もしてこなかった俺に…
もう一度だけチャンスを下さい。
また、燐音やニキ…零たちと歌って踊れるように。
その為だったらなんだってする。
しんどいよって言われたリハビリも、なんだってする。
だから…
だからどうか俺に、チャンスを。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
金糸雀(プロフ) - やはりそうでしたか！嬉しかったもので記載読まずにコメ書いちゃいました😅 (2021年10月18日 22時) (
レス) id: aa2ec4448a (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 金糸雀さん» ご愛読頂きましてありがとうございました！記載の通り、引用をさせて頂きました！！気付いて下さって嬉しいです！ (2021年10月18日 22時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 俎板さん» ご愛読頂きましてありがとうございました！ (2021年10月18日 22時) (レス) id: e0d88f5dee (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2021年10月18日 22時) (レス) id: aa2ec4448a (このIDを非表示/違反報告)
俎板(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2021年10月18日 22時) (レス) @page19 id: 53028413f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魚
| 作成日時：2021年10月18日 17時
