外套と手袋(2) ページ9
「あ、そうだAちゃん。付いておいで」
着替えて、軽く朝食をとった後、太宰幹部に手
招きされた。
着替える時に太宰幹部が覗いてたから、中也の名前を出して追い払っておいた。
…やるな、中也。
「はい。これ」
「?」
太宰幹部がくれたのは、黒い外套。
「あ、これって…太宰幹部と同じ…?」
「うん。私じゃ小さくなってしまったからね」
嬉しい。
私は制服だけ着ている。
だから、何か上に羽織れるものが欲しかったのだ。
「でも、如何して…?」
「あのね、拾った者は拾われた者に、何か贈呈するというルールなのだよ。Aちゃんを拾ったのは私と中也だ。きっと中也からも何か貰えるんじゃない?」
私は早速外套を着て、くるりと回ってみた。
「どうですか?」
「……っ……うん。可愛い」
さらっとそういう事言う。
赤くなっているのを悟られないように、太宰幹部から顔を背ける。
「そうだ。この部屋に2人でいる時、というか大体そうだけど、太宰と呼んでほしい」
「?太宰幹部…ではなくて…?」
太宰幹部がうんうんと頷く。
「……じゃあ、太宰さん」
「なに?」
「……呼んでみただけです…」
太宰幹部……太宰さんはうふふと笑うと、私の頭を撫でた。
「よし。今日の最初の業務は、顔見せだよ」
「顔見せ?」
「うん。色んな幹部とか医療班とかにね」
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作者名:コレット | 作成日時:2018年8月4日 20時