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バッドエンド【ut】 ページ7

zm「あそこが正面や!ソウハがおる!」





ゾムを先頭に全員で走って、黒い塊に近づいて行く。


黒い塊はだんだんと大きくなっていっている。


既に国土の半分は塊に飲まれた。


ソウハの所にまで到達すると、暴風が吹き荒れている。





sn「ソウハこっちおいで!お前まで取り込まれてまう!」





ふらふらとしんぺい神の腕の中に収まった。


Aに声をかけすぎてもう声すら出ない。


魔力のあるソウハにはわかる。


Aは苦しんで、憎んでいる。


その憎しみが誰に向けられているのか、ソウハには分かっていたけれど、あえて言わなかった。


これは当人同士の問題だから。





『近寄らんといて………!嫌や、こんといて!』





黒い塊からは悲痛な声が聞こえてくる。


黒い塊から発せられる黒いモヤは、時々切れて空中に分散されていく。


それがまるで涙のようで、しんぺい神は胸が痛くなった。


どうにもできなくて、手をこまねいていると、大先生が黒い塊ぎりぎりの所に立った。





『来るな言うてるやろ!はよ去ね!』





大先生はすぅっと息を吸うと、大声で叫んだ。





ut「ごめん、間違ってた!

Aをちゃんと信じてあげられへんかった!

でももう大丈夫やで!

例えAが魔女でも、Aがこの世界を滅ぼしても、ちゃんと愛すから!

なぁ、僕の心をあげるから、君の心をまた僕にくれへんか!」


『煩い…煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩いっ!』





黒い塊は拡大をやめない。


それどころか大先生を除いた全ての幹部が飲み込まれた。


黒い塊はこの世界を全て飲み込む。





『お前が…お前が私をこうしたんだろう…!私の心を…壊したんだろう…………?』





黒い塊はそれだけを呟くと、ただ揺蕩う黒い霧になった。


世界に独り。


大先生は取り残された。


黒い霧は時々大先生も飲み込もうとするが、何かを迷ったかのように揺らめいて離れていく。









___まるで、最期の迷いのように。









ut「ふふ…っ」





大先生はただ笑った。


壊した。





ut「僕が…僕が壊したんやね?なら、Aは僕に囚われたってことや!」





あはははは!と高く笑う。


ハイライトのなくなった黒々とした碧の瞳を天に向ける。





ut「A…ここには僕らしかおらん。僕が死ぬまで。ずっと、ずぅっと………ずぅっと一緒におられるな」





大先生は黒い霧に手を伸ばした。

バッドエンド【kn】→←↓



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作者名: | 作成日時:2020年2月16日 18時

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