自.傷.少.女【歌い手】

45:新生活 ページ46

．



結菜が戻ってきて、悪夢を見なくなった。

久しぶりの安眠

何故不眠だったのかさえわからない。



「お……き…！」

あー、誰だろ。
もうちょっと眠らせてくれ… 。

「起きろ！」

『うぎゃ』

布団を取られ、視界が真っ白になる


ぼやけた視界がハッキリしてくると、結菜の顔が見える。

「今何時だと思ってんの?!」

『えー、9時くらい?』

「違う！もう11時！」

『あぁ、そう。じゃ、おやすみ…』

「寝るな！歌とるんじゃなかったの?!」

『あぁ…、そうだった。』


ゆっくりとした足取りで部屋を出て、階段を降りる。

用意してくれたお昼に近い朝食を取って、着替える。


『ん。録音する曲決めた?』

「うん！」

画面をこちら側に見せてくれる。

『Sister’s ∞ mercY……?』

「うん！最近の曲なんだけどさ！惹かれる感じがあって大好きなの！」

『…今度私も歌おうかな？』

「とういうか一緒に歌おう。」

『……別にいいけど…、いいの?』

「うん！」


歌詞を見ながら曲の音を覚える。

『…うん、覚えた。歌えるよ』

「早くない?!」

『早くないし、通常運転』

「さすが……?」


『さ、歌うぞー』



歌ってて確信した。
やっぱり結菜は上手だ。

曲の魅力を理解して、それを邪魔しない。
けれど、通った声。


『……歌い終わったね。』

「うん」

『楽しいでしょ?』

「うん」


あえて音源を合わせるだけ。

過度な加工はしない。



『そうだ、生放送しましょ』

「私は逃げる」

『別にいいよ。』

どうせ巻き込むんですからね。

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