【東卍】マイキーの彼女はチートなガチオタお嬢様

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ｺﾝｺﾝ

『入るよ。』





包帯だらけでベッドで横になっているイヌピーと、その側で椅子に座ってるココが、顔を上げた。








「お前が、オレ達を助けてくれたんだってな。

　…ありがとう。」




「医者から聞いた」とイヌピーが私に感謝を述べる。

でも、その表情は暗く、苦しそうだった。



そりゃ、当然だよね。

自分は意識も取り戻して、治る見込みがあるけど、
赤音さんはまだ意識もなく、しかも治療費が払えない所為で治せないんだから。








「何で、っ何で赤音さんが……」


絞り出すようにココが嘆く。




ｶﾞｼｬﾝｯ
「あんたが！あんたがもっと早く気付けば良かったんだ！

　もっと早く助けてれば、赤音さんは今も「やめろ、ココ！」っ………。」



私の車椅子を掴み、大声で責め立てるのを、イヌピーに制される。

二人そろって、苦虫を噛み潰したような顔で俯き、病室はｼﾝと静まり返る。












『ごめんね。』








私の声が響いた。




『私はイヌピーの家で火事が起きることを知ってた。

　いつ、何が原因で起きるかは分からないけど、いつか起きることだけは知ってたの。


　それなのに、油断してて、イヌピーと赤音さんを、火事から守れなかった……全部、私の責任よ。』




「な、何、言ってんだよ…。

　火事のことなんて、誰にも分かる訳ねぇだろ！」




『普通はね。でも、私は分かってた。

　分かってたのに守れなくて、イヌピーには火傷を負わせちゃったし、赤音さんは重症でまだ目を覚さない。

　だから、』










驚いて固まるイヌピーとココを尻目に、車椅子から降りる。

まだちゃんと力が入らないから、天野の肩も借りながら床に正座した。





『乾青宗様、九井一様。

　乾青宗様及び、赤音様を火事から守れず、酷い火傷を負わせてしまったこと、私の慢心と愚かさを、ここにお詫び申し上げます。

　大変、申し訳ございませんでした。』




両手を床につけ、ゆっくりと頭を下げる。









「やめろ、何でそんなことするんだ。

　お前はオレ達を助けてくれた。

　お前がいなかったら、オレも赤音も、今頃死んでた。

　火事は、お前の所為じゃないだろっ…。」






まだ、頭は上げない。








『これは、たった二人すら守れぬ、弱き私(わたくし)なりのけじめで御座います。

　どうか、謝罪を受け入れて下さいませ。』






「………っ、分かった、。」








頭を上げる。


『ありがとう。』ﾆｺｯ

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