未来を変えるための【烏丸京介】

5 ページ9

(美味しい...)


我慢できなくて食べた料理を頬張りながら話を聞く。白いもちもちした粒が固まっていて黒い薄い何かに包まれたそれはささやかな塩味によって非常に美味である。

まあそれはそれとして

ボーダーという組織が一般市民に確認されたのは三年前の大規模侵攻により。それから今の新ボーダー創設となった

A級B級Ｃ級と等級が存在しこの玉狛支部はA級しかいないそう

つまり、私が一番弱そうといったのは大きな間違いである。恥ずかしい。しかし目の前の人物は強大な相手なのではないだろうか。あの表情、とても鍛えられたものの証かも


大規模侵攻により市民はネイバーへの敵対意識がとても高い。故にボーダーへの支持はとても強い。あのままふらふらしてまた別のA級に見つかっていたらどうなっていたことか。間違いなく公開処刑(物理)だ


そんな中。大規模侵攻時に活躍した旧ボーダーの三国同盟時代の意思を引き継ぎ、ネイバーとの交流が残っている唯一の支部が玉狛支部だという


｢でも、いくら交流があるからって私をいつまでも匿っておくなんて出来ないでしょ｣

｢え、匿っておくつもりはないそうですよ｣

｢え｣

｢そこは林藤支部長に任せてます。恐らく内緒でカナダ人設定とかになるかもしれないですけど｣



カナダ人？


｢あ、ｵﾚﾊﾈｲﾊﾞｰﾅﾝﾃﾐﾃﾅｲﾃﾞｽ。見たのはただの迷子のカナダ人って設定で｣


ネイバーである。というところだけ見なかったことにするのか。いやでも迷子のカナダ人は無理があるだろう。

確かにヒュースとかならその角は誤魔化しきれずその力は隠しきれない。

まだ私なら見た目も大してここの人間と変わらない。話も通じるようだし最初から騙しておけばなんら問題はなしというわけか。


あの支部長、ただのよく喋る人間じゃないな


｢分かった。そういうことにします｣


食べ終わりフォークを皿の上に乗っける。カラスマは無言でその皿を回収し消えた時と同じ場所にまた消えた

6→←4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す