愛されたいのは 2

62 北山side ページ15

*


朝からAちゃんの様子がおかしい。

ぽわーっとしてる時はたまにあるけど、今日はそんな感じとは違う。

カウンターに呼んで額に触れるとやっぱり熱い。

熱があんじゃねーか。

とにかく2階へ連れて行って熱を測らせたら、やっぱり38.3度で割と高め。

寝室で寝かせておいて、とりあえず営業を開始した。









昼が近付くとやっぱり忙しくなってきた。

俺と宮田だけじゃ厳しいから、料理が出来たら松岡さんに運んでもらったりして、なんとか店をまわした。

すこし落ち着いて来た頃に、あいつがやってきた。

藤ヶ谷ってやつ。

店に入った途端にキョロキョロと店内を見回していた。

Aちゃんを探してるんだろ。

今いねーから。

宮田がオーダーを取ったり、料理を運んだりしていたので、俺が関わることはなかった。

が、会計になり俺の目の前にきたけど…でけぇな、背が。

お金を払った後に、ちょっと聞きにくそうな顔をしながら


「あの、今日Aちゃんは…」

「ああ、上で寝てますよ」


一瞬眉毛がピクッてなったの、見逃さねーよ。


「上ってオーナーさんの家ですよね。なんで上で寝てるんですか？」


すっげー無表情だけど、逆にそれが嫉妬心剥き出しに見えるわ。

俺もわざと理由は言わなかったわけだけど。


「出勤してきたけど熱があったんで」

「えっ！？…様子、見に行きたいんですけど」


いやいや、アナタ俺の友達でもなんでもねーから。

なんで家にあげなきゃなんねーんだよ。


「いや…悪いけど俺んちなんで」


って言うと少しムッとしたのか、眉間に少し皺を寄せた。


「わかりました」


って意外にアッサリ引き下がったな。

店を出た途端に電話してたけど、出なかったのか後ろを振り返り2階を見つめてた。

そんなに心配かよ。






あーもう！！

レジから出て、店のドアを明けてもう一度声をかけた。


「上がれよ、2階」

「…ありがとうございます」


何やってんだろな、俺。

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