愛されたいのは 2

63 太輔side ページ16

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昼休憩にAちゃんのお店に行くと、彼女を見つけられなかった。

接客中かなと店内を見回したけどいない。

こんな事一度もなかったのに。

とりあえず食事をして、会計の時に聞いてみる事にした。

あ、オーナーの北山って人。

聞けばAちゃんは上で寝てるらしい。

いやいや、上ってあんたの家だろ。

なんでそこで寝てるんだよ。






ポーカーフェイスしてたけど、一瞬出る剥き出しの感情は隠せなかった。

図々しいとも思ったけど、様子を見させて欲しいと言ったら、当然のように断られた。

まぁ、普通は他人を部屋には入れないよな。

お店を出てすぐに電話をかけてみるけど出ない。

寝てるんだろうか。

あったかくしてるのかな。

あの人、気が利かなそうだしな。

冷えピタとか貼ってるのかな。

心配でAちゃんがいるであろう2階を眺めると、店の扉が開いた。


「上がれよ、2階」

「…ありがとうございます」









寝室で寝てるからと言われ、まずは階段を上がり2階の部屋へと続く扉を開けた。

リビングの奥にある扉、恐らくあれが寝室だろう。

コンコンとノックをするけど、返事はない。

そーっとドアを開けたら、カーテンを閉めた薄暗い部屋で寝ていた。

その額には冷えピタが貼られ、サイドテーブルには食べ終えた一人用の鍋が置いてあった。

意外にきちんと世話してた。

首元に触れるとだいぶ熱は下がってきたのか、そこまで熱くはなかった。

よかった。


「ん…たやまさん…うるさい」


誰の夢見てんの。

俺じゃないの？

まったく…手がかかる子だな。








鍋を持って下におり、これ…と北山さんに手渡した。


「ああ、サンキュ。どうでした？あいつ」


あいつ呼ばわりですか。


「首元はそこまで熱くなかったので、熱は下がってきてると思います」


ありがとうございました、と一言言って店を出た。

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