【文スト 】お父さんの馬鹿

生まれて ページ32

今まで言えなかった









お父さんと呼ぶことを拒絶され









首領と言い続けた









もしかしたら私は子供ではないのだろうかと









何度考えただろうか









息が苦しい









意識が飛びそう









いやだ









まだ返事を聞いてない









｢ごめん、ごめんなA｣









その謝りは父じゃいれないってこと?









既に崩れている心が行き場もなくさまよい、突き刺さる









｢何時までも、私は君の父親だ｣









その言葉で、意識がはっきりする









｢ずっと側にいる。我が儘なんかじゃない。悪い子なんかじゃない。こんなにも良い子じゃないか。｣









違うのよ、









それは仮面を被っていただけ









｢こんな良い子に、更に良い子を演じさせてしまった｣









辛かったろう、苦しかったろう









そんな言葉が体に温かく広がる









｢私が弱いばっかりに、こんなにも傷つけてしまった｣









お父さん









｢信じてもらえないかもしれない。それでも私はAを愛している｣









私もだよ









お父さんは私の涙を優しく拭い、微笑みかける









｢A、10回目のお誕生日、おめでとう｣









誕生日に初めてもらった父からの言葉









｢生まれてきてくれて、ありがとう｣

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