6/19【太宰治誕生祭】 ページ22
『誕生日おめでとう、太宰』
扉を開いた目の前には、愛しい兄さんの姿。『遅くなって悪い…』と少し歯切れが悪いのは、時刻は既に日付が変わる数十分前だからだ。そんな兄さんを部屋に招き入れると、少し躊躇いながらも部屋に入る。誕生日プレゼントは私の好きな日本酒と、そんじょそこらでは売っていない高そうなカニ缶の詰め合わせ。
太「ありがとう兄さん、凄く嬉しい」
にこり、と微笑めば兄さんも嬉しそうにはにかむ。しかし何処かそわそわしている兄。その理由は今の容姿にある。今Aが身に纏っているのは血と硝煙の臭いが複雑に混じった服。頬には煤が付いている。それは無理もない事で、先日1週間はかかる任務に出掛けていたAは、太宰の誕生日に間に合わそうとたった3日で終わらせ、つい先程片付けてきたばかりだからだ。その真実に口元の緩みがおさまらない太宰。
『?何だよ…』
太「ね、兄さん。もう一つだけプレゼント貰ってもいい?」
ベッドの上で横になっているのは太宰とA。太宰のもう一つのプレゼントは、誕生日が過ぎるまで傍にいて欲しい。
『別に横にならなくても良くね?』
太「えー私よく聞こえなーい」
さり気なくAに腕枕をする太宰が、もっとと言わんばかりに身体を近付ける。
『あんま、寄るな』
太「血の臭いがうつるから?」
そう言うとこくり、と静かに首を動かすA。その返事に太宰はまた嬉しげに口角を上げる。
太「いいよ。寧ろ興奮する」
ちゅ、と額にキスを落とすと目線の下から『変態…』と声が聞こえた。痛くも痒くも無い、そう思わせるように静かにAを抱きしめる。
『駄目だ眠い…』
太「1週間はかかる任務を3日で終わらせたんだもの。碌に寝てないんでしょ?」
隈が酷い、と目の下を撫でればそれがスイッチになったのかうつらうつらと睡魔がAを襲う。
太「寝ていいよ」
『ん〜……太宰』
太「ん?」
『誕生日、おめでとう…』
余程疲れていたのだろう、静かに寝息をたてるA。太宰の裾をきゅ、と握りながら眠る目の前の人に再度唇を落とす。
太「ありがとう、愛しい人」
私にとって、貴方とこれからも同じ世界を視れる事其れこそが一番の誕生日プレゼントなのだ。
Happy Birthday 太宰!
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なに - 読みやすくて3作品夢中に読んじゃいました!すごく続きが読みたいです!一年前の作品ですがよければかいていただきたい!!! (1月1日 23時) (レス) @page34 id: 609d62ddb9 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - ぇ…終わっちゃったんですか・・・?続きかければ書いてください!絶対読みます‼ (2022年7月11日 22時) (レス) @page35 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 無理はなさらずがんばってください!! (2022年3月7日 22時) (レス) @page35 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - 頑張って下さい!!更新待ってます (2022年1月22日 13時) (レス) @page35 id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 更新頑張って下さい!応援してます! (2022年1月7日 19時) (レス) @page35 id: 347eae7089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっぽ | 作成日時:2018年1月8日 23時