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短すぎる伝言 ページ26

ベージュの外套をたなびかせ、長身で蓬髪の男が一人。女性とすれ違えば振り返るほどの端整な顔立ちのその男は、何処か遠くをみるような瞳で赤煉瓦造りのビルへと入っていった。時刻はとっくに昼下がり。見慣れた扉を開ければ予測していた通り、そこには鬼が立っていた。



「だ〜〜ざ〜〜い〜〜……!!!」


太「あ、おはよう国木田くん朝から元気だね」



「もう昼だこの包帯無駄遣い装置!!!」と怒鳴る同僚の国木田をひらりと躱しソファへと腰掛ける。プスプスと頭から湯気を出す勢いの国木田だったが、ある事を思い出したように眼鏡をクイッと上げる。



国「そういえば、朝方貴様の知り合いだという者が来ていたぞ」



知り合い。その単語に思い付く人物が見当たらない。へぇ…と流しながら聞こうと愛読本を取り出すと、その会話が聞こえたかのように社長室の扉が開く。



福「太宰」


太「おはようございます社長。何かありましたか?」


福「先程来た者から伝言を預かっている」


太「伝言、ですか」



ざわりと胸騒ぎがした。無意識に愛読本を持った手に力がこもる。



福「“友と、共に”」



それはシンプルな伝言だった。過ぎると言ってもいい。傍らの国木田も「意味が分からん…」と普段からあるこめかみの皺が多く刻まれている。それは福沢も同じようで、太宰へと視線を送る。太宰は、何気ない顔から一変瞬きすら忘れたかのように目を見開いていた。呼吸は浅く、じんわりと額に汗が浮いて見えるのがわかる。初めて見る相棒の姿に、国木田はぎょっとしていると、震える声で国木田の名を呼ぶ。



太「その、人は、どんな、…?」


国「え?あ、あぁ…身長は170くらいで黒い服のせいかかなり色白に見えたな…特徴といえば、怪我だろうか片目に眼帯をしていた」


太「…ッふ、ふふふ」



刹那、笑いながらゆっくりと立ち上がる太宰。顔は高揚しているのか、自身の左手で覆われた顔からは微かに朱が垣間見えた。



太「……社長」


福「行ってこい」



小さくお礼を言うと、それをきっかけに駆け足で来た道を戻る太宰。去って行く太宰の背中に、普段からそれくらいの気迫で仕事をしろ!と口に出しそうになった国木田は、反射的に口を紡いだ。太宰治。最近入社した頭の切れる謎多き男。そんな太宰にあんな顔をさせる今朝方来た人物の名を改めて反芻する。



国「冲方、か…」





ーーーーーーーー

文豪ストレイドッグス3期おめでとうございます〜〜!めでたい〜〜!!

Isolated not→←ヨコハマ一角にあるビルには



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 双黒 , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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なに - 読みやすくて3作品夢中に読んじゃいました!すごく続きが読みたいです!一年前の作品ですがよければかいていただきたい!!! (1月1日 23時) (レス) @page34 id: 609d62ddb9 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - ぇ…終わっちゃったんですか・・・?続きかければ書いてください!絶対読みます‼ (2022年7月11日 22時) (レス) @page35 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 無理はなさらずがんばってください!! (2022年3月7日 22時) (レス) @page35 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - 頑張って下さい!!更新待ってます (2022年1月22日 13時) (レス) @page35 id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 更新頑張って下さい!応援してます! (2022年1月7日 19時) (レス) @page35 id: 347eae7089 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まっぽ | 作成日時:2018年1月8日 23時

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