真昼の月 ［大／宮］

18 俺の味方 智 ページ18

個展用の大きな空の絵。

青空に浮かぶ雲、風に揺れる木々。
キラキラ輝く太陽。

はぁ〜。何か足りない。

ん〜。と伸びをし、同じ姿勢でこった腰を捻った。

ん？ん〜？

「潤、いつからそこに居たんだよ(汗)」

真後ろに、潤と、和くんが立っていた。
和くんは、まっすぐに空の絵をみつめてくれていた。

「何度も声かけたし！つか、また空の絵なの？」

「ふふふ^^どう？良く描けてる？」

うん。と頷く潤。和くんは、絵から俺に視線をうつし、

「あの、こんにちわ。今日からお世話になります！」

と、頭を下げた。


「・・・俺が世話する訳じゃねぇよ？

わりぃけど、ここには家族以外、はいんねぇでほしいんだわ。
出てってくんね？」

そう言って、また、絵に向きなおした。

「・・・ごめんなさい。」

和くんがアトリエを出ていく音がした。
チクリと胸が痛む。

あぁ、なんで君なのかな？
・・・・俺の月。

もっと、嫌な子だったらよかったのに。
自分で遠ざけた癖に、胸がきゅーっとなる。

でも、俺だけでも、母さんの見方でいたいんだ。ごめんね。

「智ってさ、小動物苦手だっけ？」

不意に潤が声を出した。

「ううん。むしろ好きだね^^」

あっそう。と、潤は、近くにあった椅子に座った。

「二人、追い出したいの？」

賢い弟だ。すべてを感ずいているのだろう。
でも、潤まで悪者にするつもりはない。

「そんなことねぇよ^^」

笑って答えたつもりだったが、

潤は、俺の心でも読んでるかの様な、強い眼差しでみつめ、

「俺、智の味方だから。」

と、言った。

19 要らない子 和→←17 捨てられた犬 潤

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す