真昼の月 ［大／宮］

15 母の温もり 和 ページ15

「ねぇ。みっちゃん。そっち行っていい？」

二つ並べた布団に横になる。
夜の仕事をしていたみっちゃんと、こうやって並んで寝るのなんて、いつぶりだろうか。

「ん〜？いいよ。おいで？」

明日からは、僕だけのみっちゃんじゃなくなっちゃうから、今日だけ、今晩だけは、僕だけのみっちゃんでいてほしい。

ほら♪と、布団を持ち上げてくれた隙間に潜り込む。

「和ちゃん。お兄ちゃんたちに、嫌なことされたら、ちゃんと言いなさいね？ママ、和ちゃんは、ずっと守るから。」

「・・・仲良くするよ。」

そう？と言って、みっちゃんは僕を抱きしめて、

「お洋服も、買いに行こうね♪ゲームだって、すきなソフト買っていいのよ？
もう、我慢なんてしなくていいの。
今まで、ごめんね。和ちゃん。」

と、言った。

我慢してたのは、僕じゃない。みっちゃんだってば。

「その約束、忘れないでね？
ゲーム、沢山買ってもらうんだから^^」

そう言って、僕も抱きついた。

「もちろん！任せなさい！」

「じゃあ、クリスマスプレゼントも、お年玉ももらえる？」

「ふふふ^^もちろん！毎月お小遣いだってもらえるわよ？」

「えっ！？ほんと？
でも、男ばっかりだし、食費どうするの？
家計簿だれつけてるのかな？」

「ふふふ^^そうね〜♪凄そうね。和ちゃんも負けずに食べるのよ？」

「え〜。僕そんなに食べられないよ？」

僕たちは、このボロアパートでの最後の夜を、惜しむかのように。二人でただ語り明かした。

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