真昼の月 ［大／宮］

13 新しい弟 翔 ページ13

駆け寄ってきた智くんを見て、確信を得た。

「ねぇ、この子、展望レストランに拉致して置き去りにしたのって、やっぱり、智くんでしょ？」

道すがら、どうして迷ったのかいきさつを聞いて、この人の事しか思い浮かべられなかった(汗)

ほんとに、この人は、
お客様に何てことをしてくれてんだ。

「えっと、ごめんね。迷っちゃった？」

「・・・大丈夫です。こちらのお二人に助けてもらいましたから。」

ごめんね。ごめんね。と智くんは、俺たちには向けたことの無い必死さで、謝っていた。

「和ちゃん♪さっそくお兄さん達と仲良くなったのね^^ママ嬉しいな♪
智くん。翔くん。まーくん^^和ちゃんの事、よろしくね。」

和美さんは、俺達のそばにくると、その少年の横に立って、和くんと呼ばれたその子の頭を下げさせた。

「えっ！？じゃあ、君が新しい兄弟？」

そう言うと、和くんは、

「不思議ですね。助けてくれた、翔さんと、まーくんが兄弟で僕、嬉しいです。」

と、微笑んだ。

和くんと、雅紀は、気が合うようで、手を繋いで、テーブルへ向かっていった。

「・・・はぁ。そっか。複雑な気持ちだな。」

ん？智くんが、そう呟いた。

どうしたの？と、顔をのぞきこむと、

「ん？何でもねぇよ^^
あの子がそうだったんだなぁってな？」

「不満？」

「・・・逆。
でも、やっぱり、俺は受け入れられない。
だから、あの子の事、頼むな？」

そう言って、俺の肩を叩いて、智くんもテーブルへ向かっていった。

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