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その後ちょっと時間もろて総務へ行く

この前住民票も移したし

今月いっぱいで元の部屋引き払うから住所変更の手続き

担当が紗奈ちゃんなんがちょっとなんやけど

ちゃんと届けんとな



「紗奈ちゃん?住所変更の手続きしたいねんけど...」



って声掛けたらチラリと俺を見て返事もせんと立ち上がってった

キャビネットから書類出して来たら

俺の目の前に突き出して



「仕事中に名前で呼ばんといてくれる?」



って言われて



「すみません...」って頭軽く下げて書類受け取る



「だいたい年末のこんな差し迫った時に届けって迷惑なんやけど」

「年明けてからの処理でええん?」

「今年中に処理して欲しいん?」



今まで紗奈ちゃんが俺に話しかけてきたんとは

口調も声のトーンも全然ちごて

女ってこわっ!ってなりつつ



「もぉ住民票も移したし出来たら早めにお願いしたいねんけど...」



そう言うたら

嫌味なくらい大きなため息ついて



「ほなここで書いてって」



って自分の机を顎で指す


めっちゃ感じ悪いやん

俺何もしてへんどころか

怒ってたん俺のほうやからな!


って思いつつ紗奈ちゃんの机借りて座る


書類書きかけた時

机の上に置いてある二つの写真立てが目に入った

それは入社式の六人の写真

前に座る女子三人と後ろに立つ俺ら三人

もうひとつは去年の忘年会の写真

六人で笑てる...

こんな時もあったやんな

けど...まだ飾ってんねんや

楽しい時もあったやんな...

って思い返してたら



「すばる?早よ書いてくれへんかな」



って紗奈ちゃんが言うてきたから

慌てて書き始めながら



「仕事中に名前で呼ばんといてくれる?」



ってちょっと笑らいながら返したら

黙ったまんま横に立ってるし

もぉええわ

こっちから折れる必要なんかあらへんし

さっさと書類書いて机の上に置いたまんま立ち上がる



「そしたら処理お願いします」



それだけ言うて戻ろうとしたら



「Aに!」

「......Aに...ごめんって言うといて...」



って言うてきた


きっとAちゃんは怒ってへん

それより悲しかったんやと思う



「...自分で言うたらええやん?」



それだけ静かに言うて総務を後にした

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作者名:UTA | 作成日時:2019年4月13日 9時

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