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はっきり言ってしまえば、気づいていた。

俺は昔から特に好きな歌手とか歌があるわけでもないし、そもそもあまり興味がなかった。

でも幼馴染みに勧められたその人の声は、歌は、やけに心に残った。

「この人の歌って他に何あるの?」と折れた次の日に聞いたところ、すごい驚いた顔をされたのは記憶に残っている。

「そっちが勧めたのに何その顔」と文句を言ったのも覚えている。

ファンというわけではなかったが、その残る歌と響く声は嫌いじゃなかったし、どちらかというと好きだった。

ま〜くんには「珍しいこともあるもんだな」と呟かれたあと、「その人すっげーいいよな!」と笑顔で返された。


ただ、彼女は俺が彼女を知ってまもなく、ぱっと消えてしまった。


残念だと思った。

もうあれが聴けないなんて。


そんな出来事から何年もたって、Aが夢ノ咲にやってきて、安眠妨害を理由に歌ってみてとせがんだ。

ただの興味本位だ。

講師として来ている彼女の実力を少し見てみたかった、それだけ。


「しょうがない」と苦笑いのような表情で返事をしたあと、小さい声でAは歌い始めた。


それが驚く程に染み込んでくるもので、思わずもう一度とせがんだ。


やっぱり染み込む。そして、離れない。


ふとその時に数年前ふといなくなった歌手のことを思い出した。


そしてなぜかAと重なった。


「もしかしたら」そう思い始めて、それからも何回か歌を頼んだ。


どんなにピアノを弾いてくれても、ユニットの歌の面倒を見てくれても自身が歌うことに彼女は首を縦に振ることは無かった。


それが更に俺に疑念を持たせた。



でもそのあとAが歌っているのを少しだけ聞いたんだ。


外で眠っているとき。多分曲作りに来てたんだと思う。気分転換のためかよく外に出ることもある。

Aはずっと考え込んでいたんだけど、急に小さい声でメロディを口ずさみ始めた。

それに勢いが出てきて声がだんだん大きくなった。

その声をまた聴いて、やっぱり人1だと確信した。



そうしてさっき人1が復活することをたまたま廊下ですれ違ったま〜くんに聞いた。


『そういえば、凜月。お前が気に入ってた歌手、人1復活するらしいぞー。なんかの映画の主題歌でだったか?』


「ふーん」とだけ返した。

でもそこで思った。


芸能活動を再開したらAはもうここからいなくなるんじゃ。



そう思ったらAを探さずにはいられなかった。

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設定タグ:ツキウタ。 , あんスタ , 霜月隼   
作品ジャンル:恋愛
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ゆうくんのストーカーのストーカー - す、すごいとこで止めるじゃねぇですか...面白いです!更新頑張ってください!無理の無い程度で良いので! (2018年4月8日 6時) (レス) id: c392d9b03c (このIDを非表示/違反報告)
凖様大好き - 面白かったです!続き待ってます。 頑張ってください! (2017年8月4日 14時) (レス) id: 3dc5b5c194 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しらうお。 | 作成日時:2017年3月21日 0時

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