苦労の記録19 ページ19
──ドガァアン!
「〜〜ぃ゛、った……!」
あまりの痛さに視界が滲む。骨が!これ逝った!絶対逝ってる!(後日談、逝ってませんでした)
口の中で鉄の味がして、顔を顰める。真逆リアルでこんな体験をする日が来るとは。
「おいおい、冗談だろ?そんなんでへばってちゃァこの先もたねェぞ?なァ高橋。」
こちらに向かってくる中原中也に、私は絶望した。
なんで、なんで私がこんな目に!!!
*
*
数時間前、私は自宅で携帯の着信をとった。
「もしもし。」
『太宰幹部からの伝達です。午前9時にポートマフィアビル地下3F倉庫に来いとの事です。』
午前10時
〔ポートマフィアビル地下3階倉庫〕とかかれたプレートの下で私は立っていた。
「此処だよね。」
若干緊張しながらそこに足を踏み入れると、肌に地下特有の冷気を感じた。ここで待てばいいのだろう。
「体術か〜。」
どーせ受け身の取り方とか教わるんだろう、いずれにせよ太宰さんよりマシだな。などと考えていると足音が聞こえたので、姿勢を改めた。
「(あれ、この足音、何処かで……アニメかな。)」
足音は止まり、倉庫の扉が開くと同時に私は驚愕の表情を浮かべた。なぜならここに来たのは
「手前かァ?太宰の新しい専属部下の高橋ってのは。」
───中原中也だったから。
体術の指導ってお前なのかよ!!と、私は大声で叫びそうになった声を飲み込んだ。そうして次に浮かんだのは絶望。絶対厳しい。内心噴火するほどの疑問符と文句が発生してたが、表面は冷静に返した。
「はい、高橋Aです。」
「俺ァ中原中也だ。太宰から話は聞いてるな?」
「一応、体術を教わるとだけ……よろしくお願いします。」
と挨拶すると中也さんは品定めのように私を見つめ、ため息をついた。
「……本当は体術なんて教える心算は無かったんだが。」
「(じゃあ帰れ。)」
正直な中也の暴露に私は眉をぴくりとひそめた。こっちだって厳しそうな指導役は願い下げである。少し皮肉を言おうと口を開いた時、なんだか中也さんが私の方を興味深そうに見ていることに気付いた。
「ふうん、そうかよ。あの太宰がな……。」
「?」
その言葉の意味を私が分かるはずもなく、中也さんはまるで良い玩具を見つけたようにそう言ったあと、帽子を被り直した。
「……まァいい、じゃあ始めるか。」
「あ、はい!」
1174人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブラコン - かっかッこいいっ兄に思わず抱きつきましたぁ〜。ぶたれたし、抱きつきたくなかったよ〜!けどけど、イラストがッ! (2018年7月21日 22時) (レス) id: e9f72c513a (このIDを非表示/違反報告)
杏 - めっちゃおもしろいですね! 殺せば、勝ちなんだのところ吹きましたwww 渚君www (2018年7月4日 0時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
いんこ - 37ページの下らへんに中也のとこで「だうしな」になってます (2018年1月29日 16時) (レス) id: 4376bf785f (このIDを非表示/違反報告)
信乃(プロフ) - イラストかきました。どぞ→ http://uranai.nosv.org/uploader/common/7/6/8/768eaacc1415e24c7349773e07126187.jpg (2018年1月27日 19時) (レス) id: 3baa51b5a2 (このIDを非表示/違反報告)
自殺嗜好(プロフ) - めっさお気に入りです!夢主ちゃんのリアルな突っ込みが気に入ってます!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 11時) (レス) id: f37f9cdf35 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2017年12月31日 19時