*約束 ページ10
「なぁ、これなんだ?」
「これどうやって使うんだ?」
私はキノコを刻む手を止め、振り返った。
「なぁ、A」
そこにあるのは沢山の薬品と医療器具を持って目を輝かせている青髪の青年の姿。
腹にはまだ包帯が残っているが、その他の傷はすっかり癒えたし、ある程度なら運動することも可能なほどに回復した。
そんな青年……ソロモンはどうにも好奇心が旺盛なようで、常に私にこれはなんだあれはなんだと聞いてくる。
異種族や動物の言葉が理解できる私に、異種族の言葉を知りたいと言ってきたこともあり、簡単な意思疎通ならソロモンにもできるようになった。
本人曰く『勘』、らしいけれど。
「ソロモン、ちょっと待ってて。 お昼ご飯作ってしまうから」
そう言って、私は刻んだキノコを火にかけた鍋の中へと放り込んだ。
この家では生活に必要な物を基本森から分けてもらう。 水なんかは近くにある小川からくんでくるし、食べ物は動物に手伝ってもらい色々と採取してくる。
けれど、それだけではどうしようもないものは私の魔力で補う。 火なんかは炎の魔法だし、家を組み立てたのも魔法だ。
そんなことすらソロモンにとっては興味の対象だったようで、私が何をするのでも後をちょこちょことついて来る。
しかし、まだ15歳かそれより下かの彼がどうにも弟のように愛しく、私も満更では無かったりする。
鍋に入った具材を木でできたおたまでゆるりとかき混ぜて、火を消した。
香ばしい匂いが鼻をかすめて、部屋を満たす。 うん。 結構上手く出来たんじゃないかな。
「! A!! 今日の飯なんだ!? すっげぇいい匂いがする」
匂いに感づいたソロモンがつついていた薬草を置いて、コッチにかけよってくる。
後ろから私に抱きついてすり寄ってくる彼には、出会った当時のふてぶてしさはなく、ただただ愛しい。
「今日はね、キノコと鶏肉のリゾット。 この前市場に行ったからね、肉も仕入れてきたのよ」
くしゃりと頭を撫でつけて、食べよ、と誘う。 嬉しそうに皿によそって駆けていく彼はやはりどうみてもレジスタンスを纏め上げているようには見えない。
純粋無垢なただの青年じゃないか。
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アリサ(プロフ) - 彩星さん» で、できるかぎり更新していきます! (2014年10月29日 19時) (レス) id: 956d2a8dca (このIDを非表示/違反報告)
彩星 - だって面白い作品だからつい興奮してしまって、頑張ってください!毎日確認します! (2014年10月24日 23時) (レス) id: 0e7062ca6e (このIDを非表示/違反報告)
アリサ(プロフ) - 彩星さん» そ、そう言っていただけると、とても励みになります! (2014年10月21日 19時) (レス) id: 956d2a8dca (このIDを非表示/違反報告)
彩星 - やべー、続き気になります! (2014年10月16日 0時) (レス) id: 0e7062ca6e (このIDを非表示/違反報告)
アリサ(プロフ) - 憐(紅の瞳)さん» 頑張りたいと思います……! (2014年10月5日 10時) (レス) id: 956d2a8dca (このIDを非表示/違反報告)
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