第294話 ページ15
ジャーファルside
シンはふうっと一度息を吐ききり、バツの悪そうな顔を振り切った。
モルジアナを見ると、『勝手に記憶を見たことには、変わりないけれど』と咎める声が聞こえてきそうな顔つきである。
…私も一度気持ちを押しつぶして自分の表情も直した方がいいかもしれない。背筋を正した。
シン「――王宮に戻ってから、Aさんに自分の記憶を見てもらった。
同じ頃、シャルルカンから俺達も内容を聞き、『Aさんの昔の主人の義弟』がクトゥー・スラであることが分かった。
ここからは、推測になるのだが―――、
クトゥー・スラはAさんを欲しがったようだった。
狂気的なものがあったとみて良いと思う。証拠はないがな。
そんなスラから彼女を守ろうとして、Aさんの主人だった…、」
目を泳がせたシンに「ラサード・キンナです」と俯き加減のヤムライハが助け舟を出した。
シン「そう、ラサードという青年は、スラには何も告げずにAさんを守るために手放した。
後から知ったスラはAさんの形跡を辿り、手段は不明だが――
とうとう、彼女が鎖から解放されこのシンドリアで生きていることを突き止めた。
彼女がどうしても欲しいらしいスラは、――――これも遣り口は検討もつかないが――――数年かけて『国』を作り何十人もの密偵を作り上げ、彼らと共にシンドリアに住み着いてきた。
…それ故、今後すべての原因はスラであり、手下となる他なかった彼らを責めることはできないことは念頭においてほしい。
記憶の話はここまでだ。さて、次にいこう。
襲撃により、ピスティとAさん両名が負傷したことはいうまでもないな。
王宮への侵入者は 『スラの姿をした』青年ととスラの『母役』である魔道士の女性。
女性は逃がしたが、青年からは経緯を聞けた。
予想通り、『スラに扮して王宮に入り、Aさんを連れて帰ってこい』というスラの指示の下で騒動を起こし、かつ勢力を顕示するねらいだった。
本人は殺される可能性も踏まえて直々に出てこなかったとも話してくれたよ。
それから、ヤムライハの推測は的中していた。高度な魔法使いが少なくとも2人いる。この国に潜むスラの手下は多く見積もったほうがよさそうだ。
…ヤムライハ、どうした?」
ヤム「魔道士の型の情報は得られましたか?
Aちゃんに刺さった高度な魔法道具は氷でしたから、一人はおそらく2型で…」
――
長いですが続きます。
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カルティ(プロフ) - 凛さん» 長らくお待たせしてます。凛さんのコメントに、本当に救われます…!凛さんに宛てる心づもりで書いていきたいです。どうぞ、今後もよろしくお願いします!! (2020年5月2日 18時) (レス) id: 8b553715eb (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 更新ありがとうございます。このお話が大好きで、ずっと楽しみにしていたので、とても嬉しいです!続き楽しみに待っています。 (2020年4月26日 0時) (レス) id: 119aca1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - 幽さん» 幽さん、コメントありがとうございます。温かい言葉に支えていただき、今日更新に至りました。これからもお待ちいただけたら嬉しいです!これからもどうぞよしなに。 (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - 夏澄さん» 夏澄さん、ありがとうございます!更新しました!!読みやすいと言っていただけて口が緩むのが抑えられません…!読みにくさを気にしてるので本当にうれしいです。今後もどうぞよしなに〜。 (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - Msさん» Msさん、ありがとうございます!落ちは最後まで明かしませんので、どうぞこれからもよしなに。マスルールとももだもだできるといいなと思ってます(笑) (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カルティ | 作成日時:2015年7月30日 19時