第291話 2017・03・24手直し ページ12
市場 ジャーファルside
おかしい。
ドラ「――――どういう…」
Aさんが攻撃されたスラの店の前。私とドラコーン以下第一分隊はスラの所在を確かめるために来ている。
そして、
問い詰めるために
迫り詰めるために
追い詰めるために
どうにも私は抑えきれない。彼女の足から生えていた氷の矢を見てから。
なのに。
スラ「ねえってばジャーファルさん、何なんですかこれ!」
クトゥー・スラはぶっ壊れた彼の家を前にして,私に切ない顔で喚いてきた。
何故。お前では。違うのか。エギーユ君が嘘をついているとは思えない。
ジャ「…私たちは先程貴方の母…レアリザさんでしたか?
彼女から私たちの部下が襲撃されました。この家の被害は彼女の魔法によるものです。
巻き込まれた被害者を保護し,彼女の捜索に当たっているところなのですが…貴方も何も知らないのですか?」
スラ「知りません!そんな、何なんですか!母さんがそんなことを…!?」
スラは驚懼から目を縦に大きく開き,声は聞き苦しいほどに高く大きくなっていた。
私は殆ど真実を伝えてはいない。それでこの反応。
…演技か、否か、測りかねる。
ジャ「動揺しているところ申し訳ないのですが、スラさん、貴方は今までどこに行っていたのですか?」
実は先程貴方を訪ねたのだ、と言おうとしてやはりやめた。慎重に発言しなければ。
スラ「俺…俺、さっきまで港の近くにいたんです。母さん、母さんはどこに?」
ジャ「…座りましょうか。ほら、深呼吸を。港のどこです?」
スラ「はい。港の、今日、来るって聞いてた西方からの、商人の、船。あ、商船です。それを見に行ってて、明日から市場に店を出すっていうのを聞いて、」
ジャ「それから、ここへ戻ってきたんですね?」
スラ「そうです!そしたら、家が……。」
ついに泣き出してしまった。
両手で顔を覆い、上体をくたっと倒してわぁっと呻いている。
ドラコーン将軍に目配せすると私に同意するようにかぶりを振った。
――――何なんだ。誰なんだ。
スラ「…早く、早く…かえってきて…」
スラは全壊を免れた家に、ふらふらと、噴水の水面に浮かぶ木の葉が排水溝へ吸い寄せられるように入っていき、自室であろう部屋へと歩いて行った。数分で数年分衰弱したようにみえた。
ジャ「…報告を急ぎましょう」
武官十人前後をその場に残し、私たちは王宮へ戻った。
……くそ、どうすればいい。この怒り。
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カルティ(プロフ) - 凛さん» 長らくお待たせしてます。凛さんのコメントに、本当に救われます…!凛さんに宛てる心づもりで書いていきたいです。どうぞ、今後もよろしくお願いします!! (2020年5月2日 18時) (レス) id: 8b553715eb (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 更新ありがとうございます。このお話が大好きで、ずっと楽しみにしていたので、とても嬉しいです!続き楽しみに待っています。 (2020年4月26日 0時) (レス) id: 119aca1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - 幽さん» 幽さん、コメントありがとうございます。温かい言葉に支えていただき、今日更新に至りました。これからもお待ちいただけたら嬉しいです!これからもどうぞよしなに。 (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - 夏澄さん» 夏澄さん、ありがとうございます!更新しました!!読みやすいと言っていただけて口が緩むのが抑えられません…!読みにくさを気にしてるので本当にうれしいです。今後もどうぞよしなに〜。 (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - Msさん» Msさん、ありがとうございます!落ちは最後まで明かしませんので、どうぞこれからもよしなに。マスルールとももだもだできるといいなと思ってます(笑) (2019年11月30日 18時) (レス) id: c008cc11a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カルティ | 作成日時:2015年7月30日 19時