第260話 ページ28
A(……報告に、行かなきゃ)
行かなきゃいけないのに。
A(……動け、私)
現状は変わらないのに。
A(…まだ)
まだここにいさせて。
枷をつけられたら人がいない国。
自由がない人が一人もいない国。
トルメス。
希望を反芻しながら、膝を抱え、卑怯者に幾つかの悪態をつく。
息を吐く。
……。
小さな音。
足音?
A(……誰か、来るっ)
顔を上げると同時に体勢を整え、
A「……あ…」
スパ「何があった?」
木のもとから、声が差し伸べられた。
・
・
・
スパルトスside
商船警護の帰りだった。
Aの店『ルアウ』の開店時刻が間近だったので足を運んだが、店に人影はなかった。
ただし店の前に客が数人並んでいて、既に閉まったわけでもないようで。
悶着でもあったかと心配になり裏口へ回ってみたが、果樹園にもいない。
スパ(……珍しいな。)
暫時すれば来るだろうと,Aがよく凭れて読書する樹に同じように凭れた。
心地良さそうなハンモックが架かっていたが,白龍皇子殿下からのものだろう。
・
・
・
遅すぎる。
Aに限って仕事を忘れることはないと断言できるが、王宮に戻ってみるか?
……不安になってきた今、Aが趨走してきたのだ。
・
スパ「何があった?」
A「スパルトスさん…。
………!!(ハッ
え、エギーユさん!エギーユさんが! スパルトスさんなら…!」
樹から飛び降りてきて支離滅裂なことを呟いたり声を荒げたりした。
スパ「人の心配よりも先に自分を落ち着けることが解決の糸口になる。」
A「は、い……」
私のどこかの本に書いてありそうな文句を聞くと、Aは目を固く閉じ深呼吸し始めた。
『エギーユ』,見合いの時の青年か。彼がどうしたというのか。
…まさか、…クトゥー・スラ?
近頃Aに悪い影響を与えていると聞いているが、その前に私は何度か店で会ったことがある。
そして、その『何度か』で厄介な性格をしていることは良く分かった。誰よりも先に注意してみていたのだ。
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魂魄 - 更新がんばってください、楽しみにしています!! (2015年7月30日 13時) (レス) id: 069bd89ccf (このIDを非表示/違反報告)
けーじろー(プロフ) - 夢主ちゃんはこれからどうなるんですか?それに、夢主ちゃんの過去も凄く気になります!これからも頑張って下さい♪ (2015年7月23日 21時) (レス) id: eb19431c53 (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - ルキアさん» →結構ヤバいです。 市場の辺りで騒ぎになりました。 実は、次の更新で規模はあまり大きくなかったことを追記する予定だったので,「る…ルキアさん,とっても鋭い…!」って画面の前ですごい顔してました(裏話)(笑) これからもコメントをいただけると嬉しいです! (2015年7月15日 19時) (レス) id: 837c998b3e (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - ルキアさん» ルキアさん、もったいないくらいの褒め言葉ありがとうございます!! かなり嬉しいです! ルキアさんの書いてくださった、マスルールの場面、私も結構気に入って更新したので、細かく見ていただけて幸せ者です、私。 ちょっと文字数が足りないので次へ→ (2015年7月15日 19時) (レス) id: 837c998b3e (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - 雪野サヤカさん» 雪野サヤカさん、返事が遅れてすみません、コメントありがとうございます! 面白かですか!?何て可愛い表現ですか! エネルギーになります! 頑張ります! (2015年7月15日 19時) (レス) id: 837c998b3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カルティ | 作成日時:2014年10月31日 22時