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第210話 ページ26

noside


A「ありがとうございましたー…」

何か疲れる営業だった、と首を回しながら店を片付けていると机が一つ少ないことに気づく。
そして原因を思い出し、店の裏、昼に紅炎のために設けた読書の場に向かう。

当然、誰もいないと思ったのだが、


A「あ」

紅炎「…仕事は終わったか。
もう少しで一巻が読み終わる故、続きを借りたい。」


紅炎がAを待っていたらしく、そこに悠々と座っていた。


A「え、あの、その厚さで『もう少し』ですか…?」

彼の手にある巻子本の残りを見る限り、寝る前に読み終わる量ではない


A「…失礼ながらお聞きします。就寝時刻はいつですか?」

紅炎「決まっていない。今日はこれを読み終えるまで寝ないつもりだ」

うわ、予想的中…と焦り顔
二巻も貸したら彼は寝ないのではないだろうかと心配が過る


そして意を決して言いきった


A「き,今日は貸しませんっ」
紅炎「…何故だ。俺には貸さんというのか」

今朝のような鋭い、ひやっとする目が光る。

A「そ、そういうわけではありません。
二巻は取り出しにくい本棚に入ってまして、お渡しするのに時間がかかるので。
明日ならば渡せるかと思います」

紅炎「今朝一巻を出すのはやけに早かったが?」

A「偶然……用があって、手前の本棚にあったもので!」

紅炎「……」

疑いの目がきつい…
視線が刺さるってこういうことなんだと認識した。

紅炎「ならば明朝、食事のあとにでも持ってこい」

A「し、承知しました」


…まさか机に放置して積み上げてあるとは言うまい


紅炎「…紅玉の友人になったそうだな」

A「え…?はい、そうですが。」

立ち上がった紅炎の後ろに回り椅子を片付けながら答える

紅炎「あいつが朝、俺に耳打ちしていったんだ、友達だから穏やかに頼むと。」




A「ああ、あのとき…」(第200話参照)

そんな気遣い、してくださっていたんだ


ちょっと、
いや、
かなり、嬉しい。


紅炎「紅玉があのようなことを口にするのは珍しかったものでな。……礼を言いたい。」


何に対する礼なのか、はっきりとは言わなかったが、Aは大体理解した


A「いえ、此方こそ感謝しなくてはなりません。私のような低身分の人間と友達になっていただけて…」

紅炎「………しかし、本当に」


紅炎は脈絡なく発した言葉を一度止めると、Aの頭に手を伸ばした。



ひっ───!


反射的に目をぎゅっと瞑り肩に力が入る。

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カルティ(プロフ) - ゆっぴ@(ー□ω□ー)さん» ゆっぴ@(ー□ω□ー)さん返事遅れてすみません! ありがとうございます!! 頑張ります!! (2014年11月6日 21時) (レス) id: 78d1e56aa2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ@(ー□ω□ー)(プロフ) - カルティさん» いえいえ〜。ホントに面白いですよ、この小説!これからも頑張れ!(((o(*゚▽゚*)o))) (2014年11月1日 6時) (レス) id: 55cd45edba (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - ゆっぴ@(ー□ω□ー)さん» ゆっぴ@(ー□ω□ー)さん、 コメントをいただけるとは……!久々すぎでPCの前で震えております(笑) ハッピーハロウィンです!本当にコメントありがとうございます!最初からずっと見てくださってるなんて…まとめ能力のない私には最上級の言葉です!本当にありがとう!! (2014年10月31日 21時) (レス) id: 78d1e56aa2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ@(ー□ω□ー)(プロフ) - カルティさん、ハッピーハロウィン!最初からずっと見てます!更新頑張ってください(=゚ω゚)ノ (2014年10月31日 17時) (レス) id: 55cd45edba (このIDを非表示/違反報告)
カルティ(プロフ) - 華さん» うわああ!?コメントくださっていたんですね華さん・・・・。 申し訳ありません。 ジャーファルさんは尊敬に値しますね (2014年9月22日 19時) (レス) id: 78d1e56aa2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カルティ | 作成日時:2014年6月15日 18時

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