魔法がキライな魔導士【マギ】

星空を見上げて ページ27

美しい三日月が登る真夜中の屋上。



目が冴えてしまった私は、こっそり広間を抜け出していた。



しかし、そこには先客が居たようだ。


「誰だ」と鋭い声が向けられて一瞬驚く。




けれど、この声は…



「もしかして、ソロモン？」




一歩一歩踏み出せば、段々と相手の顔がはっきりと見えてくる。



「なんだAか」


私の姿を捉えるなり、普段と変わらない声色に戻ったソロモン。


そんな彼の隣に私は腰かけた。




「ワヒードの寝言で目が覚めちゃった」


そう告げると彼が鼻で笑う。


「そうか」



吊られて私も微笑んだ。




「ソロモンはどうしてここに？」



「星を眺めていたんだ」



「星？」




「そうだ。こうやって寝転んでな」



そう言って、ゴロンと仰向けに寝そべった彼。



私もそれに習って空を見上げる。


そこには星達がキラキラと光り輝く、幻想的な世界が広がっていた。




「わぁー！」と、感嘆の声を上げた私に「だろう？」と自慢げな彼。





そう言えば、ココに来る前はよく夜空を見ながら眠りについたっけ………



懐かしいなぁー





暫く星を眺めて思い出にふけっていると、彼が独り言のように呟いた。




「闘いの前日になるとさ、………どうしても星が見たくなっちまうんだ…」




それを聞いて何故だか言葉に詰ってしまう。



何て声を掛ければいいのか分からない。





けれど、今なら彼は何も言わずに私の話を聞いてくれる気がする。





話すなら今かもしれない。






「あ、あのさ…………ソロモン」



勇気を持って声を絞り出せば「何だ？」と返事が帰ってきた。


緊張しながらも私は言葉を続ける。





「昔の事なんだけどね……今、話しても平気？」









「………あぁ」




少し間があったものの返事を聞いて「ありがとう」と返した私は、重たい口を開く事にした。





「丁度、今から5年前のことだよ………」

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