魔法がキライな魔導士【マギ】

決戦準備 ページ25

「上等じゃねーか！A、修行がてら魔法で勝負だ！！」



「あっ、ずるい！」



そんなのまだまだ修業中の私が勝てる訳ない。

意地の悪い笑を浮かべているイスナーン。


絶対、わかってて言ってる。



“最悪！”と心の中で呟いて彼を睨みつけてると、アルバが身を乗り出して来た。



「じゃあ、Aの助っ人で僕も参加するよ」


「ホントに？」


「もちろんさ！」


嬉しさのあまり、頼もしい笑みを向ける彼女の手を握る。



「ありがとう！アルバ！！」


「なっ！アルバが出るなんてずるいぞ！！」


そう言って、ぎゃあぎゃあと騒ぎ出しそうなイスナーンの肩をセッタが掴んだ。



「じゃあ、僕は兄さんの助っ人をするよ」


「本当か！」


「よっしゃー！」とばかりに拳を振り上げるイスナーンを見てソロモンが一つ頷く。



「良いだろう。審判は任せとけ」






「楽しそうじゃのう」



「こんなポカポカ陽気の時間に皆、元気が良すぎるアルよ」




意気揚々と広間を後にして行く私達の背中に、未だに食事中のワヒードと眠そうな表情のファーランが呟いた。


「でも…」と言葉を続けて彼女達が立ち上がる。




「今はこのくらいが丁度いいアル」



もうすぐ戦いが始まるのだ。


ジッとしている訳にはいかない。




「ウーゴ、ワシと勝負じゃ！」


そう言って肩を組んできたワヒードにウーゴが飛び退いた。


「えぇっ！？か、勘弁してよワヒード」



「待て！ウーゴ！！」



そうして始まった彼らの追いかけっこ。


大事な戦いを控え、一層騒がしくなった廊下で2人の追いかけっこが可笑しくて、ファーランが顔を綻ばせた。

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