父の覚悟-幼い記憶- ページ3
「俺たちは、いつかこんな日が来ると知った上でAを育てきた。あの日、覚悟を決めたはずだろう？」
コクコクと母が首を縦に振って頷いている。
「ある程度、時間を稼いだら直ぐに2人の後を追いかけるから…」
「でも、向こうは大人数だわ………」
「大丈夫。ボクは君より魔力の量が多い。2人に追いついてみせるから………信じてくれ」
そっと私たちを離した父が、真剣な表情で真っ直ぐ母を見つめていた。
それから、近くにあった少し低めの山を指さす。
「あそこの頂上で待ち合わせだ」
「………わかったわ」
口では了承しつつも、母の表情は変わらない。
寧ろ、先程よりも悲痛そうに見えた。
母の返事にどこか安心した様な表情をみせた父は私に視線を移す。
「A、お母さんに何かあったらAが守ってあげるんだ。頼んだぞ？」
「うん…」
父の表情に何故だか私は不安に駆られる。
「直ぐに戻るよ」
優しく微笑んだ父は私を母に預けると、その背中を押した。
「走れ！」
そう叫んだ父。
母は涙を堪えながら、暗い森の中を必死に駆け始める。
母の腕の中で幼い私は、父の姿を確認した。
その背中は敵に向かって走って行く。
私は見えなくなるまで、その背中を見つめていた。
走り始めて暫くすると、母のペースが落ち始めた。
苦しそうに息を上げている。
人と比べて魔力が少ない母には、体力もあまりない。
私は父には劣るが魔力が多い方だった。
けれども、体力は母似て少ない。
だからこそ、母にしがみついて居るよりは自分の足で進む方が良さそうだと思った。
「お母さん、私自分で走る！」
「ほ、本当に？暗い森の中でも、………平気？」
「うん」
私の返事に、少しの沈黙を置いて母が答える。
「お母さんの手を離しちゃだめよ？」
足を止めた母は腕の中から私を下ろすとその手をキュッと握った。
暗い森の中、はぐれてしまわないように………
繋いだ手から、何かを決意し直すかのような力を感じた気がした。
「A、しっかりついて来るのよ」
約束の山の頂上を目指して、私たちは一生懸命走り出した。
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ミヅキ(プロフ) - アリスさん» お返事遅くなってしまい、すみません！！（；＞＜）ありがとうございます。頑張ります！！ (2015年7月13日 23時) (
レス) id: c07fa541ba (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 頑張って更新してください！楽しみにしてます (2015年6月15日 23時) (レス) id: 263fd153e4 (このIDを非表示/違反報告)
ミヅキ(プロフ) - 彩星さん» 久しぶりー(≧∇≦) このところリアで色々ありすぎて、なかなか占ツク来れない(･_･、) (2015年4月3日 21時) (レス) id: c07fa541ba (このIDを非表示/違反報告)
ミヅキ(プロフ) - ムックさん» コメ返遅くなってごめんなさい(>_<) 本当ですか！？そう言って頂けて嬉しいです(*^^*) (2015年4月3日 21時) (レス) id: c07fa541ba (このIDを非表示/違反報告)
彩星 - 久しぶり〜！ (2015年3月28日 12時) (レス) id: 0e7062ca6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミヅキ | 作成日時：2014年8月1日 20時
