第四十舞『謳歌する無双』 ページ40
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アイザックは、足から出血した血液を利用し、銃弾を防ぐ赤い障壁を展開した。
今の内に太宰に近付き、太宰を拘束して居る手錠を解いた。
「君さ、本当に銃撃防ぐの得意だよね」
「お陰様でな!走れ、あの窓から飛び降りろ!」
アイザックの言葉を聞くと、太宰は少し引き気味になった。
「一寸!私はアイザ君じゃ無いんだから、高い所から落ちれば死ぬからね!痛そうな死に方は嫌だよ私!」
アイザックは面倒臭そうな顔をし、太宰を担いだ。
窓硝子に発砲し、窓を割った。
割れた窓まで走り、飛び降りる。
高さは四階程度。一人なら耐えられるが、太宰を担いでいる為、耐えられるか判らない。
拙いと思ったのも束の間。
「此処に落ちて来て下さーい!」
真下に、賢治が構えて居た。
アイザックはぎょっとした。この落下速度では、賢治が大怪我では済まないと考えた。
「莫迦か!退けッ!」
アイザックは叫んだ。それでも賢治は退かず、両手を広げて待ち構えて居た。
駄目だ…!と思った瞬間、ぽすんと軽く受け止められた。
太宰とアイザック二人分の重量を、この落下速度で受け止めたのだ。
「…えっ、と…有難う…」
「いいえ!」
賢治は満面の笑みを見せ、太宰とアイザックを下ろした。
すると目の前に車が停車し、窓から国木田の顔が見えた。
車内には、敦と谷崎も乗って居た。
「国木田くぅ〜ん、私の云った通りだっただろう!」
「貴様一人に任せるなど出来んと思ったが…今となれば如何でも良い!早く乗らんかお前等!」
車内は窮屈で、アイザックと敦が隣になった。
「…あ、敦」
アイザックが珍しく怖ず怖ずとしていると、敦は首を傾げた。
「…ごめん。良かった…無事で」
アイザックが謝ると、敦は目をぱちくりさせた。
「良いって。お帰り、アイザック」
敦が笑顔で云った後、急に車内が揺れた。
「くく、国木田さん!?」
国木田の運転が荒くなったのだ。
「狙撃手だ。此処を素早く抜けなければならん」
「いや、任せろ」
アイザックがそう云い、車の窓を開けた。
身を乗り出し、狙撃のあった方へと拳銃を構える。
アイザックの研ぎ澄まされた銃弾は、狙撃手の手に命中した。
「お見事」
太宰がそう云った。
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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