第十七舞『久遠なき果報』 ページ17
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『今日、作之助が泊まりに来るって』
金髪の少年、十四歳の頃のアイザックが云う。
一年前にマフィアに捕まるも、子供ながらにその強さを利用される事になり、太宰の側近に抜擢された。
しかし、家も無く身寄りもない。
そんなアイザックに、織田作は声を掛けた。
織田作が養う孤児達と共に、生活をして居た。
今では、長男の様に子供達に慕われている。
『それで、アイツを如何してやろうか?
五人の子供達の中で、最年長の幸介に企んだ笑みで問い掛ける。
『そうだな、今日こそは仕留めてやる!』
『そう来なくちゃな』
アイザックも含め、子供達五人は、仕留めると口で云っておきながらも、織田作が来る事が嬉しい様だ。
『作戦さんぼー!頼んだぜ!』
幸介がアイザックを作戦参謀と呼び、楽しそうにした。
『部屋に入ったら、先ず枕を投げ付けて視界を眩ませるのが良いかと、隊長!』
アイザックの立てた一つの案に、子供達は賛同する。
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織田作が安堵の息を吐いた。
『如何だった。今回は危なかっただろ?』
『あぁ、危なかった』
五人の子供達が、疲れ果てて寝た頃だ。
二人の会話が、部屋の中に優しく響く。
二人はソファに隣で座り、本を読んでいた。
『咲楽に本も読んであげて、親そのものだな』
アイザックの言葉に、織田作はふと笑う。
『なれてるといいな』
織田作…彼も、遅くまでの任務で疲れているんだろう。
眠たそうに、うとうとしていた。
『あのさ、作之助』
アイザックの声に、返ってくるものが無くなった。
『何だ…寝たの』
寒そうな格好をしていたので、アイザックは織田作に毛布を着せる。
…少し位なら、別に良いよな。
アイザックは、眠った織田作の肩に、ぴたりとくっ付いた。
普段彼が見せない、子供ながらの甘えた仕草は…誰も知らない。
『俺にも本、読んでみて欲しかったな…』
ぽつりと呟いた。
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織田作の墓石に、花を添える。
暫く花を見詰め、アイザックは立ち上がる。
「帰ろうか。何時までも此処に居たら、安心して眠れないだろうからね」
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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