Desire42 ページ42
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____壁の外側に、飛び降りた。俺を忘れた『友達』の目に、俺が映らない様に。身体を後方に傾けて、少し笑って。
悔いは…無い。だけど、ひとつだけ。もう一度逢えるとしたなら…リヴァイ・アッカーマン。君に伝えたい事があった。
些細な事だけど、俺にとっては…大事な事。
それは____。
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____現在。
「…あ、れ…」
不意に、頬に生暖かい何かが伝う。ハンジの報告書に涙がぼろぼろと溢れ落ちてしまう。意識して流した物では無い。手の甲でそれをごしごし拭って、突然泣き出した俺を見て驚いたリヴァイに「何でもない」と返した。
「…思い出したなら言え。お前の全てを知るのは俺だけだ。エルヴィンやハンジは勿論状況は把握しているが、お前の何もかもを知る訳じゃない」
「いやいや…未だに洗濯の仕方も、お湯の出し方も分かんないというか…」
と、情けなく溜め息を吐く。だけどこれは嘘だ。
あの日、壁から落ちた時。待ち受けて居たのは地面ではなく…
巨人だった。信じられないかも知れないが、巨人がクッションとなり…死ぬ事は無かった。
それからは覚えて居ない。全く何があったのか思い出せない。俺が覚えて居ないことには心当たりがある。思い出せずとも、今ある記憶を繋げて行けば…原因が分かる。それは、あの『無名の森』に咲いていた桜だ。
大きくて、綺麗に咲き誇っていたあの桜。俺の中で今、全てが繋がった。
「……そうか。思い出したなら必ず言え。言わねぇと削ぐぞ」
「冗談に聞こえないからやめろよ…!」
相変わらず物騒な事を口走るリヴァイ。俺は今、凄く迷って居る。思い出した、と伝えてしまえばどんなに楽だろう。
なんて思っていれば、既に時計は遅い時間を示して居た。いつも一瞬にして時が過ぎて行く。自分の年齢は、もう数えてはいない。
「ガキは寝る時間だ」
「ガキじゃねえし」
「あ?ガキでもニンジンは食えるぞ。お前はガキ以下か?赤ん坊か?確かに俺が居ねぇと何も出来ねぇな」
真顔で俺の事をガキやら仕舞いには赤ん坊だの馬鹿にして来るから、さすがの俺も腹を立てたのだろう。腕を組んで、ふんとリヴァイから顔を逸らしてやった。
「そういうのがガキだっつってんだ、ガキ」
「だあ〜〜〜!この…!この!超小型小人!!1.6m級の態度だけ巨人男!」
その夜、俺は知った。人類最強の恐ろしさを。つまりたんこぶ
4つ出来た。
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桜の花言葉
『高貴』『清純』『私を忘れないで』
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にゃるす。 - 真面目に泣きました…… 感動です!!こんな素晴らしい作品を作ってくださった作者様に感謝です!!ありがとうございます!!(人 •͈ᴗ•͈) (2022年6月9日 22時) (レス) @page50 id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ぴりおどさん» 節子…それ涙です…(戯れ)ありがとうございます嬉しいです…!! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴりおど - 目から汗が…凄く面白かったです! (2021年11月20日 21時) (レス) @page50 id: d35dddd041 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 僕さん» ありがとうございます....!!涙していただけてとても嬉しいです…! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
僕 - 感動しました。涙が止まらないです! (2021年3月31日 9時) (レス) id: 9ca767eafd (このIDを非表示/違反報告)
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